台湾のODMメーカーであるCompal社が、Compal Voyagerラップトップという、珍しいキーボードギミックを搭載したノートパソコンを開発しました。
著名なデザイン賞である、iFデザインアワード2020を受賞しています。
ODMなので、発売になった場合も、異なるブランド名で流通するかもしれません。
どのようなギミックかというと、「11インチのフットプリントに、12インチのディスプレイと、13インチのキーボード」を搭載できるというものです。↓
見て分かるように、キーボードが二つに割れて、縦方向に収納できるようになっています。
PCを使うときは、キーボード部を翼を拡げるようにしてセッティングすることで、フットプリントやディスプレイサイズよりも大きなキーボードとして使えるというものです。
昨今、ディスプレイベゼルが小さくなり、同じインチサイズでも筐体はどんどん小さくなってきています。
もちろんモビリティ観点では歓迎すべきことなのですが、こと入力インターフェースという意味では、デメリットも出てきます。
当然、ベゼルが狭くなり、フットプリントが狭くなると、キーボードは配列が変則的になったり、ピッチが狭くなったりして打ちづらくなります。
その最たる例が、デイリーガジェットでも何度も紹介しているUMPC(超小型ノートパソコン)です。
7インチや8インチサイズでどこへでもハイスペックなノートパソコンを持ち運べる夢のあるマシンですが、キーボードやポインティングデバイスは使いづらいです。
最新の↓OneMix 3Proは、第10世代Coreプロセッサや16GB RAM、512GB SSDなど驚くべきハイスペックで10万円台前半、しかも日本語キーボードを搭載しているので、現状のUMPCの中ではもっとも洗練されたモデルの一つです。
それでも、キーボード配列は↓のように変則的で、特にライターやプログラマーなど、キーバインドなどにこだわりのあるユーザーにとっては許容しがたい場合も少なくありません。
今回のCompal Voyagerラップトップは、まさにこうしたベゼルレス化やモビリティ性能の向上といったラップトップの潮流の中で、入力インターフェースの快適性を求めるニーズに応えるギミックを搭載しているわけです。
でも、先駆者もたくさんいますよ実は
このCompal Voyagerラップトップが斬新かといえば、実はそうではありません。
ポメラを販売している我らがキングジム社は、「PC版ポメラ」とでも言うべき「キングジム ポータブック クロ XMC10」を遙か5年前にすでに発売しています。
覚えている方も多いかと思いますが、Compal Voyagerラップトップによく似たギミックを搭載していました。↓
キーボードの真ん中部分が二つに割れて↓
縦向きに収納されます。↓
「まったく一緒じゃないか」と思われるかもしれません。その通りです。
「文字打ち」に全振りしたポメラシリーズを出しているキングジム社だからこそ、キーボードとモビリティの両立にこだわり抜いた末に生み出した仕組みですね。
さらに25年前にも!
実はキングジムよりさらに遡ることなんと20年、おなじみThinkPadが、革新的な変態ギミックキーボードを世に送り出していました。
レノボに買収される前、まだIBM時代の話です。
それがこちら、ThinkPad 701シリーズに搭載されていた「ThinkPad バタフライキーボード」です。↓
縦向き収納ではなく、テトリスのような段々を上下にスライドさせることで、キーピッチ分の幅広を実現するギミックです。
これは、ニューヨーク近代美術館にも展示されています。
というわけで、狭いフットプリントで快適な入力を実現しようとする変態ギミックキーボードの伝統は、2020年も生き続けているということですね!
UMPCへの展開を期待したいところです。
おわり
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コメント
ポータブックに関しては、デザイナーの川崎和男氏が物言いを付けましたね。1990年代のMACLIFE誌上で氏は自身がデザインしたMindTopの事を記事にしていましたので、ポータブック発売当初パテントに触れていないのかなと懸念していました(後に、キングジムはポータブックに関しては問題無いものと考えているとコメントを出しました)。
製造するとしても、IBMの構造、川崎氏の考案した構造、ポータブックの構造、これらを除いた構造になっていないと特許の問題が出そうです。