手軽に本格的な映像が撮影できる3軸ジンバルカメラとして人気の「Osmo Pocket」
カメラ部が、手振れと逆方向に3軸にグリグリと動くことで、スマホとは全く違った、非常に安定したプロっぽい映像を簡単に撮影することができます。
外国人観光客が持っているのを目にした方も多いかと思います。
ただこのOsmo Pocket、↓のように3万5千円ほどします。
しかもほぼ値下げしないことで有名です。
発売当初は4万円以上したので多少は買いやすくなっていますが、やはりお試しには少し勇気のいる価格だという方も多いのではないでしょうか。
また、外部マイクを使うには4,000円くらいする専用のアタッチメントが必要だったり、スマホと有線でつなげるとスマホを充電し始めてすぐにバッテリーがなくなったり、無線でつなげるにはまた高いアタッチメントが必要だったり、画角が狭かったり、三脚用のネジ穴がなかったりと、不満点が多いのも事実です。
そこで、そんなOsmo Pocketのペインポイントを狙い撃つように、高コスパ家電を量産するXiaomi(シャオミ)から登場したのが今回レビューする「FIMI PALM」です。
こちらは初めからスマホと無線接続に対応し、画角が広く、操作用のジョイスティックがついていて、しかもお値段約2万円と、Osmoの半値近くで購入可能です。
価格はガジェット系オンラインストアによって異なるのですが、↓のようにOsmo Pocketは3万5千円以上するのに対し、FIMI PALMはGearbestであれば約2万円で購入できます。
- Osmo Pocket
- FIMI PALM
上記アマゾン以外の海外サイトも、多くは日本へは送料無料で送ってくれます。
これで、本当にOsmo Pocketの不満点を軒並み解消していたら、もはやFIMI PALM以外に選択の余地はないということになります。
では実際の性能はどうなんでしょうか?
両方使ってみて、結論から言いますと、私個人としてはOsmo Pocketの方が「買い」だと思いました。(記事の最後に比較表を載せています)
ただ、どのポイントを重視するかによって、FIMI PALMの方が良いという方ももちろんいると思います。(広角撮影、価格、ジョイスティック搭載など)
では、発売されたばかりのFIMI PALMを、Osmo Pocketと比較しながら見ていきましょう。
外観の比較
外箱はこんな感じです。いたってシンプル↓
発売はFIMI Technologyという会社ですが、Xiaomiのプロダクトファミリーとして出ていますので、子会社でしょうか。Xiaomiはイヤホンやカメラなど、様々なメーカーを買収していますので、その一社かもしれません。
内容物は↓の通り。本体と充電ケーブル、取説のみです。非常にシンプルですね。
見た目はこの通り↓完全にOsmo Pocketを意識しています。よく似ています。
充電ケーブルは、USB Type-CとType-Aです。本体側にType-Cです。アダプターは付属していませんが、それはスマホも含めて近年一般的なことです。
また、ケースについてはOsmoのように全体を覆うタイプではなく、カメラ部のみにはめ込むタイプです。↓
Osmo Pocketと並べると↓の通り。左の少し背が高い方がFIMI PALMです。
録画ボタンの位置が異なるのと、FIMI PALMにはジョイスティックがついています。Osmo Pocketは本体の液晶をスワイプしてカメラを動かすので、ジョイスティックで操作できるのは便利そうです。
どちらも、液晶はタッチパネルになっています。
底面は↓の通り。どちらもUSB Type-Cポートがついています。
あれ?FIMI PALMは、三脚用のネジ穴がついていることがウリの一つだったはずですが、ついていませんね。
と、思って見てみると、背面についていました。↓
microSDカードスロットは、↓のようにFIMI PALMは右側面、Osmo Pocketは左側面についています。
なお、FIMI PALMには、ストラップホールも付いています。
と、外観はこんな感じです。外観だけで見れば、ジョイスティックとストラップホールと三脚用ネジ穴(位置は変ですが)がついているので、FIMI PALMのほうがよさそうです。
では、続いて機能と操作を見ていきます。
機能と操作の比較
FIMI PALMの操作は、↓のようにタッチパネルで行います。そこはOsmo Pocketと同じです。
操作方法とモードについては、表にして比較するのが分かりやすいと思うので、↓のようにまとめてみました。
FIMI PALM | Osmo Pocket | |
↓スワイプ | 設定・ジンバルモード切替 | 設定 |
↑スワイプ | ファイル | ジンバルモード切替 |
→スワイプ | 撮影モード切替 | ファイル |
←スワイプ | 撮影モード切替 | 撮影モード切替 |
録画ボタン | 単押:撮影 二度押:中心に戻す 三度押:セルフィー切替 長押:電源ON/OFF |
録画・撮影 |
Functionボタン | なし | 単押:写真・動画切替 二度押:中心に戻す 三度押:セルフィー切替 長押:電源ON/OFF |
ジョイスティック | (デフォルト) カメラ移動 (長押し後) ←→明るさ(EV) ↑↓ズーム(最大3x) |
なし |
ジンバルモード | FPV 固定 フォロー ロック |
FPV 固定 フォロー |
撮影モード | 写真 動画 スローモーション タイムラプス パノラマ |
写真 動画 スローモーション タイムラプス パノラマ |
動画解像度/fps | 4K/30fps 2.7K/30, 60fps 1080p/30, 60fps |
4K/25-60fps 2.7K/25-60fps 1080p/25-60fps |
PC接続 | Type-Cケーブル | Type-Cケーブル |
スマホ接続 (どちらも要専用アプリ) |
Wi-Fi Type-C不可 |
Type-Cケーブル Wi-Fiは別売アタッチメント必要 |
似通っているのですが、大きな違いが3つあります。
1つめは、FIMI PALMは4K撮影時は30fpsのみで60fpsに対応しないこと(Osmo Pocketは4K/60fpsまで対応)
2つめは、FIMI PALMはジョイスティック上下左右で、明るさ・ズーム・カメラ移動ができるということ。
3つめは、別売りのアタッチメントなどを使わない場合、FIMI PALMはスマホとWi-Fiのみで接続、Osmo PocketはUSB Type-Cケーブルでのみ接続という点です。
FIMI PALMのジョイスティックについては、撮影中にカメラの移動(軸回転)はできるのですが、ズーム・明るさの変更はできません。ズームや明るさは、撮影前に調整しておく必要があります。
スマホとの接続について、Osmo Pocketはスマホを充電しにかかるのでOsmo側のバッテリーを消費するという大きなデメリットがある一方、Wi-Fiのみ接続のFIMI PALMにはそういった心配はありません。
ただ、スマホ接続の度に、FIMI PALM側でWi-FiをONにして、スマホの接続Wi-FiをFIMI PALMのものに変えないといけないという手間はあります。
また、全体的にFIMI PALMの方が、若干もっさりした動きになっています。(ただ、この点は慣れます)
外部マイクについては、FIMI PALMもOsmo Pocket同様、専用のアタッチメントが必要です。(いくつかUSB Type-C – 3.5mmジャックケーブルを試したのですが使えませんでした)
ただ残念なことに、まだそのアタッチメントが発売されていないようです。
というわけで、「絶対に4K/60fpsが必要だ」とか「絶対にWi-Fi接続じゃなきゃいやだ」という人以外にとっては、それぞれ一長一短というところです。
ここまででは決め手に欠ける、という方。最後に、一番重要な撮影品質について見ていきます。
撮影品質比較
どちらにも共通して搭載されているジンバルモードである「フォローモード」「FPVモード」「固定モード」を比較したあとで、最後に暗所撮影品質を見るために夜道の映像を比較してみます。
以下、すべてオートの初期設定での比較です。
まずはフォローモードです。手の動きにカメラがゆっくり追従するように動きます。
FIMI PALMは画角がかなり広くなっています。
Osmoの画角に不満があった方にとっては、かなりのメリットです。
一方、Osmo Pocketの方が画が明るくなっています。(フリッカーが出ていますが)
次にFPVモードです。これは子どもや動物のように素早く動き回るような対象を撮るのに適したモードです。
ここでも明るさと画角の違いは顕著に出ていますね。
また、Osmo Pocketの方がブレが安定しています。
最後に、上下の動きをなくす固定モードです。
もっと色々なシーンを撮影したかったのですが、今回は駅構内という無機質空間だけでの比較になってしまいました。
(動画チャンネルの方で、もっと色々なシーンを比較して公開します)
ただ、両カメラの違いは顕著に出ています。
最後に、暗所撮影です。
これはOsmo Pocketの完勝です。
Osmoは暗所に弱いという声もありますが、FIMI PALMはもっと(だいぶ)弱そうです……。
もちろん、FIMI PALMもマニュアルでEVを上げれば明るくなりますが、Osmo PocketでもPROモードでマニュアル設定をすればまた違った見え方になりますので、あくまで初期設定のオートで比較しています。
というわけで、画角でいえばFIMI PALM、撮影品質でいえばOsmo Pocketに軍配が上がりそうです。
比較まとめ
最後にまとめとして、両者の良い点・悪い点比較を一覧にします。
FIMI PALM | Osmo Pocket | |
ジョイスティック搭載 | ○ | |
ストラップホール搭載 | ○ | |
三脚用ネジ穴搭載 | ○ | |
撮影品質 | ○ | |
手ぶれ補正品質 | ○ | |
画角の広さ | ○ | |
暗所撮影品質 | ○ | |
4K/60fps対応 | ○ | |
Wi-Fi接続標準対応 | ○ | |
価格の安さ | ○ |
個人的には、画が綺麗でプロダクトとして全体的に完成度が高いOsmo Pocketを推したいですが、画角やジョイスティック、Wi-Fi接続の標準搭載、価格などのFIMI PALMの強みも、人によっては魅力的だと思います。
というわけで、三軸ジンバルカメラを検討している方の参考になればと思います。
購入先は↓にまとめてあります。
- Osmo Pocket
- FIMI PALM
海外サイトもほとんどは日本へは送料無料で発送してくれます。
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コメント
USB接続のマイク端子アダプター、公式物以外はマイク側が通常の3極、スマホのヘッドホン一体型マイクでも使う4極とあります。スマホ用のアダプターを流用している製品の場合、4極マイクでないと録音できないことも。3極マイクを4極で使う変換アダプタも市販されてます。
(SONYのスマホやウォークマンだと5極なんて端子もあるそうで)