今回は、ハイエンドな11インチど真ん中サイズAndroidタブレットの代表選手である3機種「Galaxy Tab S9」「Pixel Tablet」「Xiaomi Pad 6」を比較して、一番良いのはどれかを決めたいと思います。
もちろん様々な要素がある中で、全てにおいて圧倒的1位というのは難しいので、5つほどの要素を比べながら比較していきます。
比較する要素は下記です。
- スペック・パフォーマンスの高さ
- コスパの高さ
- 可搬性・持ちやすさ
- キーボード・ペン利用
- スマートディスプレイ利用
たまに「コスパの高さ=安さ」のように言われることがありますが、コスパというのは価格の高い低いではなく、価格に比したスペックの高さのことです。
とんでもなくハイスペックでもそれに見合った高い値付けだったり、すごく安くてもスペックも低かったりというのは、いずれもコスパが高いとは言えません。
ちなみに、各機種のレビューは↓をご覧ください。
なお、レノボにも11.2インチの「Lenovo Tab P11 Pro」があります。レノボ系列のNEC PCからもLAVIE T11シリーズが出ています。
ただ、最新シリーズは↓でレビューした「Lenovo Tab P12」となり、これは12.7インチと大型なので、比較対象から外しました。
これを入れてしまうと、「レノボが12.7インチであればGalaxyはTab S9でなくTab S9+やTab S9 Ultraじゃないのか」とか「一世代前が許されるならGalaxy Tab S8やXiaomi Pad 5をアリエクや並行輸入で買った方がコスパがいいじゃないか」といったややこしい話になるため、あくまで「日本でメーカーが正規に販売している最新シリーズの11インチハイエンドタブレット」という括りで比較しました。
それでは、見ていきましょう!
動画レビューは↓
スペック・パフォーマンス No.1「Galaxy Tab S9」
まずは、分かりやすくスペックを比較します。
下記の通りで、ピンク色のセルが3機種の中でナンバーワンのものです。(ストレージ読み書き速度は計測ごとの変動が大きいため、5回計測した時の平均的な水準を概算で書いています)
これを見ると、唯一の10万円超えタブレットであるGalaxy Tab S9が多くの項目においてナンバーワン。特にベンチマークスコアの高さが際立っています。
パフォーマンスだけでなく、有機ELだったりUFS4.0だったり画面内指紋認証だったり防水だったりと、細かい部分まで行き届いたクオリティの高さです。しかもSペンまで付属します。
ゆえに悩む要素ゼロでパフォーマンスナンバーワンはGalaxy Tab S9で決まりです。
一方で、最も安いXiaomi Pad 6も頑張っています。解像度やバッテリー容量が一番高く、リフレッシュレートも唯一144Hzまで対応しています。
ちなみに純正のペンとキーボードも比較しておきます。
純正のペンもキーボードも用意していないPixel Tabletは論外だとして、Galaxyは本体10万円ながらSペンが付属します。
というわけで、パフォーマンスという観点では分かりやすくGalaxy Tab S9が圧勝です。
コストパフォーマンス No.1「Xiaomi Pad 6」
これは多くを語らずとも、前項の比較からXiaomi Pad 6であることに異論はないと思います。
タブレット本体・純正ペン・純正キーボードすべてを直販価格の定価でそろえても78,400円なのでPixel Tabletの定価よりも安いです。(公平を期すために一応、Pixel Tabletはスピーカー充電スタンドが付属します)
Galaxy Tab S9も価格なりのパフォーマンスの高さを持っています。
逆にPixel Tabletはコスパという観点では惨敗と言わざるを得ません。Xiaomi Pad 6とだいたい同じパフォーマンスで3万円高いですからね。
というわけで、コストパフォーマンスのナンバーワンは、これまた分かりやすくXiaomi Pad 6の圧勝です。
可搬性・持ちやすさ No.1「Galaxy Tab S9」
つづいては持ち運びのしやすさです。
これは薄さ軽さはもちろんのこと、色々な見方があると思います。そのため、いくつかの観点で比較していきます。
まず重さですが、本体だけの重さはどれも大差ありません。が、高価なタブレットを丸裸で持ち運ぶ人は少ないでしょうから、どれもガラスフィルムを貼った状態で重さを比較します。
またこのようなハイエンドなタブレットはキーボードケースやペンとセットで持ち運ぶ方が多いと思うので、そのフルセット(本体+ガラスフィルム+ペン+キーボードケース)の重さを見てみます。
まずGalaxy Tab S9は830gです。
つづいてXiaomi Pad 6は836gです。
Pixel Tabletはペンもキーボードもないので、12,800円するGoogleがイチオシしている純正ケースをつけて計測すると770gです。
以上、重さでいうと、Galaxy Tab S9とXiaomi Pad 6はほぼ互角である一方、Pixel Tabletはキーボードもペンもなく770gという重量級でした。
本体の厚さは、Galaxy Tab S9が衝撃の5.9mm、Xiaomi Pad 6が大健闘の6.5mmに対し、Pixel Tabletは1〜2万円の格安タブレットと同じくらいの8.1mmと一番分厚くなっています。
そのため、薄さ・軽さ比較では、Galaxy Tab S9 > Xiaomi Pad 6 >> Pixel Tabletとなります。
持ち運んでいて日々感じる、もう一つ重要な要素が、ペンの落としにくさです。
その観点でもGalaxy Tab S9は優秀です。
↓のように背面に装着するタイプですが、
純正ケースは↓のようにペンをマグネットで覆う形になります。
Xiaomi Pad 6はiPad同様に側面にマグネット装着するタイプなので、これはかなり落とす・なくすリスクが高いです。
以上、総合すると、可搬性は、あらゆる観点でGalaxy Tab S9が最も優秀だと結論づけられます。
キーボード/ペン利用 No.1「Galaxy Tab S9」
つづいてはキーボードやペンの利用で比較します。
Pixel Tabletは比較できないので(USI2.0ペンやサードパーティのBluetoothキーボードは使えますが、フェアな比較にはならない)、Galaxy Tab S9とXiaomi Pad 6の勝負になります。
キーボード
まずはキーボードから。
Galaxy Tab S9のキーボード配列は↓です。
一般的な英字配列に、LangキーやDeXなどいくつかカスタムを入れた配列になっています。
Xiaomi Pad 6の配列は↓です。
こちらはかなりオーソドックスなAndroid向けの英字キー配列となっています。
キーボードショートカットですが、Galaxy Tab S9は↓のようにアプリショートカットをはじめとしたオリジナルなショートカットキーが多数あります。
Xiaomi Pad 6も同様です。↓
実際の使い勝手ですが、Xiaomi Pad 6は素のAndroidに近く、Galaxy Tab S9の方はよりPC利用の延長で使いやすくカスタムされている印象です。
たとえばAlt+Tabでタスク切り替えをしても、Galaxyの方はAltを押しながらTabを連打するとタスク切り替え画面でタスクを選択できたり、ホーム画面やメニューでカーソルキーを使って要素を選ぶことができます。
Xiaomi Pad 6はAlt+Tabでタスク切り替え画面が表示できますが、実際に他のアプリに切り替えようとすると画面タップが必要だったり、ホーム画面やメニュー選択ではカーソルが使えないことが多いです。
どちらの機種も、Cmd+Enterでホームに戻ったり、Cmd+Backspaceで「戻る」機能、Shift+Spaceで英字・日本語切り替えだったりといったAndroid標準のキー操作は使えます。
ただ、Galaxy Tab S9の方は、ちょっとクセが強い部分もあるので注意が必要です。
特に日本語変換のところでは、Langキーで日本語・英語切り替えができるのは便利である一方、文節の修正がカーソル左右というATOKスタイルかと思いきや文節の確定は↓でなくEnterキー、また文節の変換候補の切り替えはスペース連打ではなくカーソル左右だったりと、独特なので慣れが必要です。
また、全角モードで「amazon」と打ってスペースを押すと、普通は「アマゾン」と変換してくれますが、Galaxy Tab S9は「あまぞn」となって”n”一文字を自動で「ん」にしてくれません。毎回”n”を2回押して「ん」にする必要があったりします。
GBoardに切り替えればそういった問題は解消しますが、Galaxyのキーボードの機能をフル活用しようとしたらサムスンの日本語変換システムを使う必要があり、そのような問題点があります
そのようなクセはありますが、Galaxy Tab S9のキーボード入力はかなり使いやすいものであることは間違いありません。
ペン
ペンの機能は、Galaxy Tab S9の方が豊富です。
まずペンのボタンを押すと、Galaxyは↓の画面右のように、ペンアイコンがブルブル震えます。
そのアイコンをペンで押すと、↓のように機能が一覧で出てきます。この機能は設定から増やすこともできます。
また、ボタンを押しながら画面をダブルタップでメモが取れたり、ボタンの2度押しでカメラが起動できたりと、Galaxy NoteシリーズやGalaxy S2x Ultraシリーズで世代を重ねたSペンのノウハウが詰め込まれています。
Xiaomi Pad 6のペンは、2ボタンありますが機能はシンプル。
基本的には、下のボタンを押しながら画面タップでメモ表示、上のボタンを押しながら画面タップでスクリーンショットとなっています。
ボタンは消しゴム機能もあります。
以上、キーボード・ペンいずれも、Xiaomi Pad 6の方は機能も操作もシンプルで、Galaxy Tab S9の方は長年培った豊富なノウハウが詰め込まれたものとなっていました。
Galaxyは実際に使っていて細かい部分で違和感を感じることが少なく、完成度としてはGalaxy Tab S9に軍配があがると思います。
スマートディスプレイ利用 No.1「Pixel Tablet」
このままではPixel Tabletがかわいそう過ぎるので、この比較項目も入れておきました。
一部ユーザーは、タブレットをスマートディスプレイのように使う方もいるでしょう。そういう方にとっては、Pixel Tabletが良いかもしれません。
付属するスピーカー付きの充電スタンドは、ポゴピンでマグネット装着すると自動で充電してくれるだけでなく、音声出力先も自動で切り替えてくれます。
もちろん世の中にはこれよりも音質の良いスピーカーはたくさんありますが、少なくともタブレット自体のスピーカーよりも音質が良いことは確かです。
Galaxy Tab S9やXiaomi Pad 6も音声コマンドやスマートホームアプリでスマートディスプレイ的な使い方をしたり、外部スピーカーに接続することはできます。
ただ、純正のスタンドに乗っけるだけで自動で出力先を切り替えて充電も開始してくれるというのは、便利なのは間違いありません。
そんな使い方をしたいのだ、という方にとっては、Pixel Tabletも有力な選択肢にはなるでしょう。
結論
以上、「日本でメーカーが正規に販売している最新シリーズの11インチハイエンドタブレット」という括りで3機種を比較してきました。
結論、下記の通りでした。
- スペック・パフォーマンスの高さ:Galaxy Tab S9
- コスパの高さ:Xiaomi Pad 6
- 可搬性・持ちやすさ:Galaxy Tab S9
- キーボード・ペン利用:Galaxy Tab S9
- スマートディスプレイ利用:Pixel Tablet
やはり10万円オーバーで、かつ唯一となる(発売時に)最新のSnapdragon 8シリーズを搭載したGalaxy Tab S9は、あらゆる点で優れていました。価格に見合った高い価値を持ったタブレットで、ゲームやクリエイティブ用途をはじめとして、最もハイパフォーマンスなタブレット利用をしたい方にとっては最適なタブレットでしょう。
一方でXiaomi Pad 6も、Galaxy Tab S9まではいかないもののAndroidタブレットとしては高いパフォーマンスを持っており、ゲームを含めた大半のユースケースでは満足いくパフォーマンス・クオリティに仕上がっています。それでいて唯一5万円アンダーというコスパモンスター機なので、大半のユーザーにとってはこれがベストな選択肢になるでしょう。
Pixel Tabletは、スマートディスプレイのような使い方をしたいユーザーにとっては良いですが、今回の3機種の中では相対的に魅力度は低いと思います。Pixelシリーズにとって初となるタブレットなので、(後継機が出るのであれば)今後に期待したいです。
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