たった5gで1,000時間駆動。東京大学初の指輪型マウス「picoRing」がすごい

東京大学の研究チームは、指輪型の超省電力マウス「picoRing(ピコリング)」を開発しました。わずか5gの本体と独自の通信方式により、1回の充電で最大1,000時間(約1か月以上)の連続使用が可能とされています。AR/VR向けインターフェースとして注目を集めています。

AR/VRデバイスと相性抜群の指輪型マウス

picoRingは、東京大学を中心とする研究チームによって開発されたプロトタイプデバイスで、指にはめて使用する超小型のワイヤレスマウスです。特に、AR(拡張現実)グラスやVR(仮想現実)ヘッドセットといったウェアラブル機器との連携を想定しており、繊細かつ直感的なポインティング操作が可能になることを目指しています。

これまでのスマートリング型入力デバイスは、Bluetooth Low Energy(BLE)など既存の無線通信規格に依存していたため、バッテリー駆動時間が1〜10時間程度と非常に短いという課題がありました。

picoRingではこの課題を解決するため、指輪型の本体とリストバンド型の信号中継装置による二重構成を採用。リストバンドから発生する微弱な誘導磁界を利用し、指輪がセンサ情報を独自の周波数変調方式で送信する仕組みです。この方式を「セミパッシブ誘導テレメトリ(semi-passive inductive telemetry:semi-PIT)」と呼んでいます。

わずか27mAhバッテリーで最長1,000時間動作

picoRing本体は5gと軽量ながら、27mAhという極小バッテリーを内蔵しています。消費電力はわずか30〜500マイクロワットに抑えられており、1日あたり8時間の使用でも約600時間(約75日)、4時間の使用なら約1,000時間(約125日)動作する計算になります。

この圧倒的な省電力性により、従来のスマートリングと比較して圧倒的に長いバッテリー寿命を実現しています。

なお、入力は親指と人差し指の接触や動きに基づくシンプルなジェスチャーを読み取る形式。細かい操作はまだ改善の余地があるとしつつも、今後は医療やヘルスケア分野への応用も視野に入れてセンサー拡張を検討しているとのことです。

超小型×超省電力が開くインターフェースの未来

picoRingはまだプロトタイプ段階ではあるものの、「省電力」「小型」「装着性」の3要素を高水準で両立しており、今後のAR/VRインターフェースのスタンダードを塗り替える可能性を秘めています。

一般的なマウスやスマートリングでは難しかった長時間の使用や常時装着に耐えうる設計は、業務用途やスポーツ用途など、AR以外の領域でも活用が期待されます。現段階では製品化や価格、日本国内での入手時期は未定ですが、今後の研究成果や実証実験にも注目が集まりそうです。

次世代ウェアラブルUIの鍵は“見えないマウス”

picoRingは、従来の入力機器の常識を覆す新たなアプローチを提示しました。バッテリー容量27mAh、重量5g、独自の誘導通信方式により、1か月以上の連続使用を実現し、AR/VR領域における操作インターフェースの選択肢を大きく広げます。指輪型マウスという形状が持つ装着性と、省電力化による常時利用の実用性を両立することで、今後の製品展開にも大きな期待が持てそうです。

ソース元:Notebookcheck