Valveが手がける携帯型ゲーミングPC「Steam Deck OLED」が、日本を含む世界規模で深刻な品切れ状態に陥っています。この在庫不足の背景にあるのは、単なる生産遅延ではなく、AIデータセンターによるメモリチップの需要急増と価格の高騰です。本記事では、LPDDR5 RAMやNANDフラッシュの枯渇がもたらすハードウェア市場全体の構造変化と、次世代機への影響、そして今後のポータブルゲーミングPC選びにおける最適解を客観的に解説します。

AIデータセンター需要が引き起こすLPDDR5 RAMの枯渇
現在、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、そして日本のKOMODOストアにおいて、Steam Deck OLEDの全モデルが購入不可能な状態となっています。この品切れの根本的な原因は、AI企業によるメモリチップの買い占めです。
2026年に生産されるメモリチップのうち、約70%がデータセンター向けに出荷されると予測されています。Steam Deck OLEDに搭載されている16GBのLPDDR5 RAMや、内蔵ストレージであるNANDフラッシュは、まさにAIデータセンターが大量に必要としているコンポーネントです。DRAMの価格はすでに172%の上昇を記録しており、SSDの価格もそれに追随しています。
潤沢な資金を持つAI企業がプレミアム価格で部品を調達する市場環境下では、Valveのように比較的安価でハードウェアを提供するメーカーは部品確保の優先順位が下がります。8万円台から購入できるSteam Deckの価格対性能比は市場でも際立っていますが、部品コストの急激な上昇により、その供給体制を維持することが極めて困難になっています。
次世代機「Steam Machine」や他社ハードウェアへの波及
この「メモリ危機」は、現行機だけでなく今後の新製品にも暗い影を落としています。Valveは2025年11月に、リビングルーム向けゲーミングPC「Steam Machine」などの次世代ハードウェアを発表していましたが、業界全体のメモリおよびストレージ不足の悪化を受け、出荷スケジュールと価格設定の見直しを余儀なくされています。
近年、似たような製品が多いPCベースのゲーミングハードウェア市場において、Valveの新型機への期待は非常に大きいものでした。しかし、同等性能のPCパーツと同価格帯を目指し、赤字販売を行わないという方針を踏まえると、次世代機の価格も跳ね上がるはずです。一部では1,000ドルを超える可能性も指摘されており、続報は見逃せません。
また、この影響はValve一社にとどまらず、DellやLenovo、FrameworkといったPCメーカーの値上げ、さらにはコンシューマーゲーム機の発売延期や価格見直しの報道にも繋がるなど、業界全体で深刻な問題として目立っています。
部品高騰が続く市場環境における購入の最適解と今後の展望
日本国内の正規代理店であるKOMODOストアでは、現在も512GBモデルおよび1TBモデルが在庫切れとなっていますが、「2月下旬」の再入荷が見込まれていることは、購入を検討しているユーザーにとって嬉しいニュースです。
AI需要による部品価格の高騰が長期化する昨今の状況を鑑みると、PCゲーミング市場全体のハードウェア価格は今後さらに上昇すると考えられます。SteamOSによる独自のエコシステムと、高いエミュレーション性能や携帯性を両立した現行のSteam Deck OLEDは、現在の市場において代わりがない一台です。
もし正規価格である8万4,800円(512GBモデル)からの設定で在庫が復活しているのを見かけたならば、すぐに購入すべきです。





