
PC自作ユーザーやガジェットファンにとって、かなり厳しいニュースが入ってきました。韓国Samsungが台湾の主要な販売代理店に対し、DRAMやSSDなどのメモリ製品価格を最大80%引き上げると伝えたそうです。すでに昨年末からメモリ価格は上がり続けていますが、AI市場の盛り上がりによって企業向け製品へ部品が優先され、消費者向け製品の不足が加速しています。本稿では、今回の急激な値上げ報道の背景と、今後のPCパーツ市場への影響について解説します。
最大80%の値上げ通知と、すでに始まっている価格高騰
Samsungは世界のノートPCやゲーム機の製造拠点である台湾の代理店に対し、メモリ製品の卸売価格を最大80%引き上げると通知したとのことです。Samsung関係者は「すべての製品が80%値上げされるわけではない」としていますが、価格を上げる方針そのものは認めており、市場への影響は避けられません。
実際、ショップなどの販売価格はすでに上がり始めています。AmazonにおけるSamsung製「32GB DDR5-5600MHz」ノートPC用メモリキットの価格は、過去90日間で2倍以上に跳ね上がりました。また、定番のポータブルSSD「Samsung T7(1TB)」も、同じ時期に99ドルから199ドルへと価格が倍になっています。韓国国内の販売代理店からは「DDR5 16GBモジュールの価格が2ヶ月で3倍近くになり、1日に10キット程度しか出荷できない」といった声も上がっており、価格が高いだけでなく深刻な「モノ不足」が起きていることが分かります。
AIブームによる「企業向け優先」が招いた部品不足
今回の値上げの主な原因は、生成AIブームに伴うデータセンター向けハードウェア需要の爆発的な増加です。企業向けのメモリ製品は、一般消費者向け製品に比べて高品質な部品を必要としますが、その分利益も大きく設定されます。現在、Samsungの企業向け製品と消費者向け製品の価格差は40%にまで広がっており、同社が利益の出るハイエンド市場へ製造能力を集中させるのは、企業として自然な流れです。
ライバル企業も同じような動きを見せています。Micron傘下のCrucialなどのブランドも、利益率の高いAIデータセンター事業へ力を入れており、消費者向け市場への供給は減っています。加えて、SamsungはNVIDIAの次世代AI GPU向け「HBM4」メモリの製造において、従来よりも高額な契約を結んでいるとされ、工場のラインがこれら優先度の高い製品で埋まっていると考えられます。その結果、一般ユーザー向けのDRAMやNANDフラッシュの供給が後回しにされ、卸価格の高騰を招いているのです。
パーツ価格は今後も上昇傾向、必要な部品は早めの確保を
今回の卸価格上昇は、今後数ヶ月のうちにノートPC、スマートフォン、ゲーム機といった製品の価格に反映されるはずです。特にメモリやストレージの容量が性能に直結するゲーミングPCやクリエイター向けPCにおいては、本体価格の改定やパーツ単体価格のさらなる上昇が予想されます。
「もう少し待てば安くなる」という期待は、現在のAIブームが続く限り、難しいと言わざるを得ません。自作PCの構成変更やストレージの増設を検討しているユーザーにとって、現在の価格は「まだ安い方」である可能性が高いです。必要なスペックを満たすDRAMやSSDが見つかるのであれば、在庫があるうちに確保しておくのが、現時点における最も賢い対策となるでしょう。




