
Appleが「iPod」シリーズの生産を終了し、専用音楽プレーヤー(DAP)の市場が縮小する中、その空白を埋めるようなユニークな製品が登場しました。
中国メーカーInnioasisが展開する「Innioasis Y1」は、かつての「iPod Classic」や第3世代「iPod nano」を彷彿とさせるデザインと、物理クリックホイールを採用している点が最大の特徴です。単なるデザインの模倣にとどまらず、USB Type-C端子の搭載やBluetooth接続といった現代的な仕様を取り入れつつ、約54ドル(約8,000円)という低価格で販売されています。
本稿では、往年のポータブルオーディオファンを刺激する本機の仕様と、その実用性について解説します。
現代的なインターフェースとレトロな操作感の融合
「Innioasis Y1」の最も注目すべき点は、Apple製品の象徴であった「クリックホイール」をハードウェアとして実装していることです。
タッチパネル全盛の現代において、物理的なホイールによるリストのスクロール、再生コントロール、曲送りといった直感的な操作体系を再現しています。メニュー構造も当時のApple製DAPに強くインスパイアされており、かつてのiPodユーザーであれば違和感なく操作できるUIデザインが採用されています。
一方で、ハードウェア仕様は現代の基準に合わせて刷新されています。充電ポートには汎用性の高いUSB Type-Cを採用しており、独自の30ピンケーブルを探す必要はありません。内蔵バッテリー容量は1,250mAhで、音楽再生であれば最大35時間、動画再生であれば4時間の連続駆動が可能とされています。ストレージには1.8インチHDDではなく128GBのフラッシュメモリを搭載しており、耐衝撃性と読み込み速度の向上が図られています。

通信機能とオーディオ性能における妥協と実用性
コネクティビティに関しては、Bluetooth 4.2をサポートしており、最新のワイヤレスイヤホンとの接続が可能です。
もちろん、有線ヘッドホン派のために3.5mmヘッドホンジャックも備えています。また、FMラジオチューナーを内蔵し、音楽ファイルはMP3やFLACを含む21種類のフォーマットに対応するなど、スタンドアロンのDAPとして必要十分な機能を備えています。
しかし、オーディオ性能については過度な期待は禁物です。搭載されているDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)やアンプチップの詳細な仕様は公開されておらず、価格帯を考慮すれば、あくまで「音楽再生が可能」なレベルの汎用チップであると推測されます。ハイレゾ音源の繊細な表現力を求めるオーディオファイル向けではなく、あくまでカジュアルなリスニングや、かつての操作感を懐かしむためのデバイスとしての性格が強いと言えるでしょう。
ノスタルジーを刺激する安価なガジェットとしての立ち位置
ECサイトにて約54ドル(記事執筆時点のレートで約8,000円前後)で販売されており、この価格設定こそが最大の魅力です。スマートフォンで高音質な音楽ストリーミングが利用できる現在において、専用DAPの存在意義は問われ続けていますが、物理ボタンによる操作の確実性や、「音楽を聴くこと」に特化したデバイスが持つ没入感には一定の需要が存在します。
詳しくは公式サイトのこちらのページで確認が可能です。











