ボードゲームの体験を物理的に拡張する、極めて野心的なデバイスがクラウドファンディングに登場しました。米国のアナログゲーム愛好家兼エンジニアが開発した『Revolution Dice』は、内部に搭載されたLEDディスプレイが高速回転することで、残像効果により空中に数値を浮かび上がらせる電子サイコロです。

単なる発光ギミックにとどまらず、物理演算を伴わない「実在する光」としてダイスの出目を表示する本機は、Kickstarterにて1個115ドル(約17,500円)からの出資で入手可能となっており、その特異な仕様がガジェット愛好家の注目を集めています。

航空宇宙技術が生んだ「残像表示」と「静音・バランス」の両立
本製品の最大の技術的特徴は、バーサライタ(POV:Persistence of Vision)技術をサイコロという極小のフォームファクタに封じ込めた点にあります。ダイスが静止した瞬間、内部のローターが高速回転を開始し、その光の軌跡によって数値を空中に投影します。開発者のAndrew Maurer氏は宇宙飛行産業に携わる航空宇宙エンジニアであり、その経歴が本機の設計思想に色濃く反映されています。
特筆すべきは、内部でメカニカルな部品が回転する構造でありながら、高度なバランシングにより振動と騒音を徹底的に抑制している点です。開発者によれば「ガラガラ」という異音はなく、ほぼ無音での駆動を実現しています。また、加速度センサー等による精密な姿勢制御も備えており、ダイスが静止した際の「上に来た面」を正確に認識して、正しい向きで映像を表示する仕組みです。

電子精密機器でありながら「投げる」ことを前提に設計されている点も重要です。テーブルの高さからの落下であれば問題なく機能するビルドクオリティを確保しており、実用性への配慮がなされています。さらに本機は単なる6面サイコロの代替にとどまらず、設定によりd4、d8、d10、d12、d20といった主要な多面体ダイスすべての役割を1台でこなします。一度に最大10個分のダイスロール結果を表示できるため、ハイレベルなTRPGセッションでも十分な実用性を発揮する仕様です。
3Dプリントで外装を自作可能、ハッカー心をくすぐる拡張性
『Revolution Dice』は、ハードウェアとしての完成度だけでなく、ユーザーによるカスタマイズ性(Modding)にも重きを置いています。製品は電子部品を収めた「コア(Core)」と、外装となる「シェル(Shell)」の2パーツで構成されており、シェルは自由に交換が可能です。中世ファンタジー風のダンジョンデザインや、サイバーパンクな都市デザインなど、ゲームの世界観に合わせて着せ替えができる設計となっています。
さらにハッカー層にとって朗報なのが、開発ブログにてシェルのCADデータが公開される予定である点です。これにより、3Dプリンターを所有するユーザーは、メーカー提供のデザインに縛られることなく、自分だけのオリジナルシェルを設計・造形することが可能となります。
ソフトウェア面でも柔軟性は高く、表示されるグラフィックやフォント、アニメーションは専用のオンラインツールで編集可能です。スマートフォンアプリとの連携は設定時のみで、プレイ中はスマホ不要で動作するため、デジタルデバイスでテーブル上の雰囲気を壊したくないという層のニーズも的確に捉えています。バッテリーは充電式で、専用のケーブルを用いて行います。

納期は2026年夏、唯一無二の投資対象となる一台
価格は約1.8万円とサイコロとしては高額ですが、複数の多面体ダイスを持ち歩く煩わしさから解放される利便性と、内部でローターが回転するという精密機械としてのロマンは、他製品では決して味わえません。「全ダイスをこれ1つに集約できる」という実用性と、「光の残像で出目を出す」というSF的な体験に価値を見出せる方にとって、本機は極めて満足度の高い選択肢となるはずです。到着まで気長に待てるのであれば、あなたのデスク上のコレクションに加える全種類のダイスをこれ1台で代替。内部ローターの残像で数値を浮かべる『Revolution Dice』が登場、約1.8万円で「物理演算のない光」を振る体験をべき一台と言えるでしょう。











