AlibabaのDingTalkからAI録音カード「A1」を発表 薄型で翻訳・要約・議事録作成まで対応

中国Alibaba傘下のビジネスコミュニケーションプラットフォーム「DingTalk(釘釘)」は、設立10周年記念イベントで初のAIハードウェア「DingTalk A1」を発表しました。名刺サイズの薄型デバイスながら、音声録音・文字起こし・翻訳・要約・構造化といった高度な処理を1台でこなす、業務向けのAI録音カードです。

名刺サイズに多機能を凝縮したAI録音カード

DingTalk A1は、厚さ3.8mm・重さ40.8gという超薄型ボディを採用した携帯性重視のAIデバイスです。スマートフォンの背面に磁気で装着でき、通話録音や即時メモにも対応。教育現場や営業、面接、医療、顧客対応など、30以上の業務シナリオに対応するテンプレートを用意しています。

搭載チップは、中国のHengxuan Technology製「BES2800」(6nmプロセス)AIオーディオチップで、録音時間は最大45時間、スタンバイ状態では最大60日間の連続使用が可能です。記録データは64GBの本体ストレージに保存され、端末・アプリ・クラウド間で暗号化された形で保護されます。法人向けにはプライベートクラウドでの導入やデータの一元管理も可能です。

多言語翻訳・骨伝導マイクなど業務特化の仕様

A1は、6基のマイク(うち1つは骨伝導マイク)を搭載し、最大8メートル先の音声を収音可能です。500種類以上のノイズを除去できる処理技術により、会議や通話中でもクリアな音質を保ちます。

DingTalkアプリと連携することで、リアルタイムでの文字起こしや翻訳にも対応。画面表示または外部モニターへの投影も可能で、例えば会議ではマインドマップを自動生成し、顧客情報の整理にも役立ちます。面接シーンでは候補者の要約や発話能力の評価なども自動で行えます。

価格は約1.6万円から、9月15日より一般販売へ

DingTalk A1は2つのモデルが展開されます。フラッグシップ版はアルミ合金ボディ・前面ディスプレイ・物理ボタン付きで、価格は799元(約112ドル)。文字起こし・AI分析・クラウドストレージが無制限で利用可能で、120言語に対応しています。

一方、若年層向けの「ユース版」はディスプレイを省き、レザー調の仕上げ。価格は499元(約70ドル)で、月あたり1000分の文字起こしと10GBのクラウドストレージ、3言語に対応します。

初回出荷分の1000台はイベント会場で即完売し、一般向けの販売は9月15日よりDingTalk公式ストアにて開始予定です。現時点では日本国内での発売は未定です。

ビジネス特化AIデバイスの新潮流

A1は、スマートフォンに依存しない独立型の業務特化AIデバイスとして注目すべき存在です。会議議事録や通訳、顧客管理といった多用途に対応するだけでなく、法人向けの導入も視野に入れた設計で、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要とも合致しています。

プロセッサーにBES2800(6nm)を採用しつつ、ユーザー体験を重視した薄型設計とUI、テンプレート連携など、実用面のバランスが取れている点も特徴です。今後は他の中華メーカーによる類似デバイスの登場も予想される中、先行してエコシステムを構築するDingTalkの戦略にも注目が集まりそうです。