ASUSが一度は「生産終了(EOL)」を認めたと報じられていたGeForce RTX 5070 TiおよびRTX 5060 Ti 16GBについて、当初の発表を撤回し、現在も生産を継続していることを明らかにしました。自作PC市場に大きな衝撃を与えた今回の「生産終了騒動」は、メーカー内部の情報伝達ミスが原因とされています。しかし、生産が継続されているとはいえ、AIブームに起因する深刻なメモリ不足によって、これらミドルハイ製品の供給は極めて不安定な状況です。市場価格も大幅に上昇しており、ゲーマーにとっては依然として厳しい局面が続いています。
ASUSが公式見解を修正し「RTX 5070 Ti」の生産継続を明言
事態の端緒は、著名なテックメディア「Hardware Unboxed」がASUSからの情報として、RTX 5070 Tiなどの供給終了を報じたことにあります。これに対しASUSは即座にプレスリリースを発行し、当該モデルの生産計画に変更はなく、情報の混乱は「内部担当者による不完全な情報の提供」が原因であると釈明しました。
NVIDIA側も公式にRTX 50シリーズの全バリエーションを出荷し続けていることを認めており、仕様上のディスコン(製造廃止)は否定されました。しかし、メーカーが生産継続を明言したからといって、店頭在庫が潤沢になるわけではありません。現状、小売店ではRTX 5070 Tiの在庫確保が非常に困難になっており、製品ラインナップとしては存在するものの、実質的には入手不可能な「ゴースト」のような状態に陥っています。
深刻なメモリ不足が直撃し「カタログスペック上の現行品」が常態化
公式には生産が継続されているにもかかわらず、なぜ製品が店頭から消えているのか。その主因は、AI向けデータセンターによるDRAMおよびNANDフラッシュメモリの買い占めにあります。製造メーカーは、限られたメモリ在庫をより利益率の高いサーバー向けやハイエンドGPUへ優先的に割り当てており、RTX 5070 Tiのようなミドル〜アッパーミドル帯の供給が後回しにされています。
この影響は、販売価格にも如実に現れています。一部の小売市場では、仕入れコストの上昇を反映し、発売時の想定価格(MSRP)から最大32%もの価格上昇が確認されました。製品は技術的には「現行品」ですが、実際には法外なプレミア価格が付いているか、在庫が一切ない「幽霊のような存在」と化しています。
ミドルレンジ帯の供給不安定化は必至。高騰を受け入れるか上位モデルへシフトすべき状況
ASUSが生産終了を否定したことは、今後また製品が手に入る可能性を残したという意味で、自作PCユーザーには嬉しいニュースです。しかし、メモリ不足という根本的な問題がある以上、以前のような納得感のある価格で安定して買えるようになるのは、まだ先のことになりそうです。今の市場の状況を考えると、RTX 5070 Tiを探している方にとって、本製品は「定価で見つけたら迷わず買うべき一台」と言えます。
もし今の3割近い値上がりを受け入れられないのであれば、無理にこのモデルにこだわらず、在庫が安定している他の製品を探すか、価格が落ち着くのを待つのが正解です。性能と価格のバランスを大事にするユーザーにとって、RTX 5070 Tiは魅力的なスペックを持っていますが、今の高い価格で買う価値があるのは、どうしてもこのVRAM容量や省エネ性能が必要な方に限られるはずです。




