任天堂が『GitHub』へ大規模DMCA通知を送信。『Citron』や『Sudachi』などYuzu派生エミュが一斉削除の危機へ

2024年に「Yuzu」と「Ryujinx」が開発終了した後も、そのプログラムを元にした「派生版(フォーク)」の開発がオープンソースコミュニティで続いてきました。しかし、任天堂はこの動きを封じるため、開発の拠点である「GitHub」そのものへの圧力を強めています。今回、GitHub上で公開されている複数のSwitchエミュレーターに対し、著作権法に基づく削除通知が一斉に送付されました。これにより開発環境やユーザーの利用環境がどう変わるのか、現状と今後を解説します。

GitHub上の主要プロジェクトが直面する「存続の壁」

今回の削除要請(DMCA通知)の対象となったのは、「Yuzu」の派生プロジェクトとして知られる『Sudachi』『Suyu』『Citron』『MeloNX』などの主要なSwitchエミュレーターです。任天堂はこれまで、開発者個人や企業に対して訴訟を行ってきましたが、今回はソースコードの公開場所であるGitHubに対し、直接的な削除を求めました。

GitHubのルールでは、開発者がこの削除要請に「異議申し立て」を行うことも可能です。任天堂が所定の期間内(10日〜14日)に訴訟を起こさなければ、理論上は公開を続けられます。しかし、過去の厳しい対応を考えると、GitHub上で活動を続けるのは極めて困難な状況です。任天堂側はこれまで通り、「暗号化キーの取得方法を教えるなど、海賊版ソフトの利用を助長している」という点を問題視しています。

公式サイトへの移行と、それに伴うセキュリティリスク

今回の通知を受け、対象となったエミュレーターの一つ『Citron』の開発チームは、Discord上で声明を出しました。彼らは任天堂の主張に反論しており、もしGitHubから削除されたとしても、独自の公式サイトを通じて配布を続ける意向です。開発そのものが直ちに終わるわけではありませんが、配布場所が変わることはユーザーにとってリスクとなります。

GitHubは単なる「置き場所」ではなく、世界中の開発者がバグを見つけたり、コードの中身に危険なプログラムが含まれていないかをチェックしたりする場でもありました。もし主要なプロジェクトがGitHubから追い出され、個人のWebサイトや非公式な掲示板での配布がメインになれば、ウイルスなどを含んだ「偽物」が出回る可能性が高まります。ユーザーは今後、より慎重に情報の真偽を見極める必要が出てくるはずです。

次世代機を見据えた「締め付け」とアングラへの回帰

任天堂がこのタイミングでGitHubへの監視を強めている背景には、Switch 2 の存在があると考えられます。現行のSwitchで使われているエミュレーション技術がこれ以上広まるのを防ぐことは、次世代機のセキュリティを守るための準備とも言えます。次世代機では本体のセキュリティがさらに強化され、解析はより難しくなるでしょうが、現行機のエミュレーター拡散を遅らせることは、任天堂にとって重要な防衛策です。

今回の措置により、誰でも手軽にアクセスできる場所での開発活動は縮小するでしょう。しかし、エミュレーター文化そのものが消えるわけではなく、より一般の目につきにくい場所へと潜ることになります。これまでのように「GitHubから簡単にダウンロードして遊ぶ」という状況は終わりを迎え、高度な知識を持つ層だけがたどり着ける、本来のコアな世界へと戻っていくことになるでしょう。