
ポータブルゲーミングPCでおなじみのAYANEOから、レトロな家庭用ゲーム機にインスパイアされた新型ミニPC「AYANEO AM03」が発表されました。特徴的なのは、そのノスタルジックな外観だけではありません。CPUに第12世代の「Intel Core i9-12900H」を採用しながら、ベアボーンキットの価格を399ドル(約6万円)からに抑えています。最新世代のチップセットではありませんが、かつての最上位モデルであるCore i9を搭載する本機は、デスク上のインテリアとしても、実用的なサブマシンとしても注目の一台です。
第12世代Core i9とDDR4メモリによる「割り切った」スペック構成
「AYANEO AM03」の最大の特徴は、4年前にリリースされたIntelのモバイル向けハイエンドプロセッサ「Core i9-12900H」を採用している点です。最新のCore UltraシリーズやRyzen AI 300シリーズと比較すれば、内蔵GPU性能(Iris Xe Graphics)や電力効率で譲る点はあります。しかし、14コア20スレッド、最大周波数5.0GHzという基本性能は現在でも高く、一般的なオフィスワークや軽めのクリエイティブ作業であれば、ストレスなく処理できる水準です。
コストパフォーマンスを優先した設計思想は、メモリ仕様にも表れています。最新のDDR5ではなく、安価で入手しやすいDDR4-3200を採用しており、最大64GBまで増設可能です。ストレージはM.2 2280スロットを2基搭載し(PCIe 4.0 x4とPCIe 3.0 x4)、最大8TBまで対応します。
筐体デザインは、往年のゲーム機を意識した箱型の形状で、天面には電源ボタンに加え、RGBライティング調整やミュート、カスタム機能(AYASpaceソフトウェアで設定可能)を割り当てられる計5つのボタンを配置しています。カラーバリエーションはブラックとシアンの2色展開となっており、デスク周りのアクセントとして際立った存在になるでしょう。

デザインを優先したユニークな端子配置と注意点
本機の仕様で議論を呼びそうなのが、ポート類のレイアウトです。前面には、ポートを隠すための「フリップオープンパネル(開閉式の蓋)」が設けられていますが、その内部にUSB-C(映像・充電・データ対応)、3.5mmヘッドフォンジャック、そして2基のUSB 3.2 Gen 2 Type-Aポートが配置されています。
一方で、背面に配置されているのは2基の2.5GbE LANポート、DisplayPort 1.4、HDMI 2.1、電源ジャックなどに加え、USBポートは低速なUSB 2.0とUSB 3.2 Gen 2が各1基のみです。つまり、高速なUSB機器を常時接続しようとすると、前面のカバーを開けたままにする必要があり、ケーブルが前面から伸びることで、本来のデザイン性が損なわれる可能性があります。
この配置は、頻繁に抜き差しする用途には適していますが、「繋ぎっぱなし」の周辺機器が多いユーザーにとっては、配線の取り回しに工夫が必要です。しかし、背面にデュアル2.5GbE LANを備えている点は、自作ルーターやホームサーバー用途を検討している層にとって、大きなメリットといえます。

デスクを彩る「遊べるインテリア」として有力な選択肢
本機は、最新ゲームを最高画質で楽しむためのゲーミングPCというよりは、所有欲を満たすデザインと、日常用途に十分な処理能力を安価に手に入れたいユーザーに向けた製品です。399ドルという価格設定は、Core i9搭載機としては破格であり、中古市場で同等スペックのノートPCやミニPCを探すよりも魅力的な選択肢といえます。
前面ポートの使い勝手に特徴はありますが、それを補って余りある「デザインの独自性」と「基本性能の高さ」が本機の魅力です。レトロガジェットを愛するファンや、ありきたりな黒い箱のPCに飽きているユーザーにとって、このAYANEO AM03は、間違いなく「買い」の一台となるはずです。









