DDR5の価格高騰は半年で沈静化か?Sapphire幹部が語る市場の過剰反応と自作PCユーザーへの「パニック買い」回避提言

昨今、PCパーツ市場においてDDR5メモリの価格上昇が顕著となり、新規PCの構築やアップグレードを検討するユーザーにとって大きな懸念材料となっています。

多くの市場アナリストがこの高騰傾向は長期化すると予測する中、グラフィックボードベンダーとして知られるSapphireの広報担当マネージャー、Edward Crisler氏が異なる見解を示しました。同氏は海外ポッドキャスト番組にて、現在の価格高騰は「不確実性」による一時的なものであり、半年から8ヶ月程度で沈静化する可能性があると言及しました。本稿では、同氏の発言の真意と、市場が抱える構造的な課題、そして我々ユーザーが取るべき購買戦略について解説します。

市場の不確実性と「6〜8ヶ月」での価格安定化予測

著名なテック系YouTubeチャンネルHardware Unboxedのポッドキャストに出演したSapphireのEdward Crisler氏は、現在のDDR5価格について「不合理」であるとの認識を示しました。

同氏は、現在の価格高騰がユーザーの購買意欲を削ぎ、メモリのみならずマザーボードやPCケース、グラフィックボードといった関連コンポーネント全体の需要冷え込みに繋がるリスクを指摘しています。

注目すべきは、同氏が提示した「6〜8ヶ月以内に価格が安定し始める可能性がある」という楽観的なタイムラインです。Crisler氏の分析によれば、現在の価格上昇の一部は実際の供給不足だけではなく、市場の先行き不透明感に対するベンダー側の「防衛的な反応」に起因していると考えられます。これは過去、米国の関税政策変更に伴う混乱を予期して企業が価格を引き上げた事例と類似しており、供給そのものが即座に逼迫していないにも関わらず、予防的な値上げが行われている側面があるとの見方です。

↓では、英語になりますが詳しく語っています。

How The DRAM Crisis Will Affect Gaming GPUs (feat. Ed from Sapphire)

アナリスト予測との乖離とAI需要の影響

Crisler氏の今回の発言は、多くの業界アナリストが発表している予測とは対照的です。現在、SamsungやSK Hynixといった主要メモリサプライヤーは、利益率の高いデータセンター向けやAI処理用メモリの生産を最優先としています。その結果、コンシューマー向けDDR5の生産能力拡大が限定的となり、価格高騰は2026年以降も継続するというのが一般的な市場の見方でした。

しかし、Crisler氏は「パニック買い」を避けるよう強く推奨しています。同氏は、過去の供給不足時にもPC愛好家たちは既存のハードウェアを長く使用したり、スペックを調整したりして適応してきた実績があると指摘します。現在のDDR5市場は極めてボラティリティ(価格変動性)が高く、ベンダー側の防衛策が過剰反応であると判明すれば、予想よりも早く価格が是正される可能性は十分に考えられます。

自作PCユーザーが今取るべき「静観」という選択肢

Sapphireという主要パーツベンダーの幹部が、あえて「今は買い急ぐべきではない」と発信したことの意味は重いと言えます。市場の不確実性が払拭されるまでの間、我々ユーザーにとっては、性急なアップグレードを避け、市場動向を冷静に観察することが最も合理的な戦略となるでしょう。

もちろん、AI需要によるDRAM供給の逼迫は構造的な問題であり、楽観視はできません。しかし、不当な高値での購入を避けるためにも、今後数ヶ月間の価格推移と、主要サプライヤーの生産動向に関する続報を注視する必要があります。