市場規模32兆円へ、『ウェアラブルAI』は「記録」から「提案」へ進化。身につけるAIの普及でASUSやMetaが競う次世代デバイスの覇権争いとは

身につけるAIデバイス、いわゆる「ウェアラブルAI」の市場が、今後10年足らずで劇的に拡大しようとしています。市場調査会社のPolaris Market Researchが出した最新レポートによれば、この市場は2032年までに2,083億ドル(約32兆円)規模に達するとのことです。2024年時点では約344億ドルですので、わずか8年で約6倍になる計算です。これまでの「データを記録するだけ」の機械から、AIが「生活をサポートしてくれる」パートナーへと役割が変わっていることが、この急成長の理由です。

Metaの成功とゲーミング勢の参入で、AIは「手元」から「顔」や「耳」へ

この盛り上がりを象徴するのが、Metaの「Ray-Ban Metaスマートグラス」のヒットです。この製品が登場したことで、一部の愛好家向けだったウェアラブルAIが、一般の人々にも受け入れられるようになりました。さらに、ASUSのゲーミングブランド「ROG」からはスマートグラスが、RazerからはAI技術を搭載したヘッドセットが発表されるなど、PCファンにおなじみのメーカーも続々と参入しています。

デバイスができることの「質」が劇的に向上している点も見逃せません。これまでのスマートウォッチは、あくまで健康データを記録するだけのツールでした。対して、最新のAI搭載機はユーザーのデータを分析し、「次はこうしたらどうか」と具体的な行動を提案してくれます。

さらに、使い込むほどに持ち主の癖を学習して使い勝手が向上するほか、声や視線による直感的なハンズフリー操作も可能にしました。単なる測定器から、ユーザーを助ける「相棒」へと進化したことで、ビジネスの現場など、より実用的なシーンでの導入が進んでいます。

スマートグラスや「着るデバイス」が普及し、スマホに次ぐ主役になる

2032年に向けて、ウェアラブルAIの形はもっと自由になります。今は時計型やメガネ型が中心ですが、今後は「耳に装着するタイプ」や、服そのものがデバイスになる「スマートアパレル」が増えていく見込みです。Appleも胸元につける「AIピン」のような製品を開発中だと噂されており、先行していたHumaneなどの製品が抱えていた課題をクリアできれば、一気に普及する可能性があります。

たった8年で市場規模が約1,740億ドルも増えるという予測は、ウェアラブルAIがもはや「ガジェット好きのおもちゃ」ではなく、スマートフォンのような「なくてはならない道具」になることを意味しています。特にSoC(処理チップ)の進化で、クラウドを使わなくてもデバイス本体だけで賢いAI処理ができるようになれば、使い勝手はさらに良くなるはずです。

「通知を見るだけ」は卒業、生活を変えたいなら今が買い時

ガジェット好きにとって、これからの数年は非常に面白い時期になります。これまでのスマートウォッチなどに「通知が来るだけ」「ログが残るだけ」という物足りなさを感じていた方にとって、文脈を理解して先回りして助けてくれる次世代機は、まさに待ち望んでいた進化です。

特にASUSやRazerといったメーカーの参入により、デザインや質感、レスポンスの良さにこだわった製品が増えてきます。便利なアシスタントとしてはもちろん、身につけるアイテムとしての完成度も高まっている今、スマートグラスをはじめとするウェアラブルAIデバイスは、新しいもの好きの方にとって、試してみる価値のある一台となるはずです。