Metaが同社のスマートグラスに、顔認識機能「Name Tag」の準備を進めていることが判明しました。カメラに映った人物の名前を自動で表示するこの機能は、SFのような便利さが期待される一方で、プライバシーへの懸念も大きな問題です。本稿では、海外での報道をもとに、Metaが検討している機能の仕組みと、私たちが知っておくべきリスクについて解説します。
顔認識機能「Name Tag」の概要と現状
Android Headlinesなどが報じた内部情報によると、Metaは『Ray-Ban Meta』などのスマートグラス向けに、「Name Tag」と呼ばれる新機能をテストしています。これは、スマートグラスのカメラで捉えた人の顔を認識し、その人の名前や情報をユーザーの視界に表示するというものです。
まさに、現実の人物にデジタルの「名札」を貼り付けるような機能ですが、街ゆく人の名前が無差別に分かってしまえば、社会的な混乱は避けられません。Meta側もこのリスクは十分に理解しており、現時点では「誰彼構わず識別できるようにする計画はない」としています。あくまで限定的な使い方を想定して開発が進められているようです。
どこまで特定できるのか? 残るプライバシーの課題
注目すべき点は、「どこまでを識別の対象にするか」という線引きです。報道によると、Metaは現在いくつかの案を検討しています。
一つは、InstagramなどのMetaプラットフォーム上で「すでに繋がっている友人」のみを対象にする案です。これであれば、単に知人の顔と名前を一致させる補助機能として使えるため、ユーザーの抵抗感は比較的少ないはずです。
しかし、もう一つの案として「プロフィールを『公開』にしているユーザー」も識別可能にするという選択肢が挙がっています。もしこれが採用されれば、全く面識がない相手であっても、SNSの設定が公開であれば街中で名前を特定されることになります。これはプライバシーの観点から非常にデリケートな問題であり、ユーザーに対して「識別されたくなければアカウントを非公開にする」という自衛を強いる形になりかねません。また、公式に制限をかけたとしても、第三者の改造によって制限が解除されるリスクも懸念されます。
今後のスマートグラス市場を左右する機能
かつてGoogle Glassが、カメラによる撮影を警戒され、「盗撮の道具」といった批判を受けて一般への普及に失敗した歴史があります。Metaがこの「Name Tag」機能を実際にリリースするかどうかは、スマートグラスが「単なるカメラ付きメガネ」から、真の情報端末へと進化できるかどうかの大きな分かれ目になるはずです。
技術的には実現可能であっても、社会がそれを受け入れるかは別の話です。検索機能やAIの進化により、顔認識の実装は時間の問題とも考えられますが、もし実装されるのであれば、しっかりとした説明と、機能を拒否できる手段の提供が不可欠です。この機能の行方は、今後のウェアラブル端末のあり方を決める、非常に重要なトピックと言えるでしょう。




