ESP32搭載の2画面E Ink端末「Diptyx」がクラウドファンディング開始!完全オープンソースでファームウェア改変も可能な「遊べる」電子書籍リーダー

電子ペーパー搭載デバイス市場において、極めてユニークかつギーク層の心を掴むプロジェクトが始動しました。

米国のクラウドファンディングプラットフォーム「Crowd Supply」にて、2つのE Inkディスプレイを搭載した折りたたみ式電子書籍リーダー「Diptyx」の出資募集が開始されています。

本製品の最大の特徴は、ハードウェアおよびファームウェアが完全にオープンソースであり、ユーザーによる自由な改造(ハック)が前提とされている点です。市販の電子書籍リーダーとは一線を画す、エンジニアや愛好家に向けた本端末の詳細をお伝えします。

ESP32-S3を中心とした「Diptyx」のハードウェア構成

「Diptyx」は、文庫本(ペーパーバック)程度のサイズ感を持つデュアルスクリーンデバイスです。閉じた状態でのサイズは120 x 150 x 14mm、重量は300gとなっており、中央のヒンジによって本のように開閉する機構を採用しています。

特筆すべきは、その心臓部にEspressif Systems社のマイクロコントローラ「ESP32-S3-N16R8(240 MHz)」を採用している点です。汎用性の高いMCUを採用することで、自作キーボード界隈や電子工作愛好家にとって親しみやすい構成となっています。

ディスプレイには5.83インチのE Inkパネル(640 x 480ピクセル)を左右に2枚搭載しています。画素密度は約137ppiであり、現在市場の主流であるKindle等の300ppiと比較すると解像度は低く、視認性はレトロなデバイスに近い水準です。しかし、この仕様はコストを抑えつつ、DIYプロジェクトとして成立させるための現実的な選択であると考えられます。バッテリーは左右に各1500mAh(合計3000mAh)を搭載し、USB-Cポート経由での充電やデータ転送に対応しています。

I’ve been developing a dual-screen, open ereader!
byu/spacerower inereader

MITライセンスによる完全な自由度と拡張性

本製品の真価は、単なる読書端末としてのスペックではなく、その「拡張性」にあります。標準ファームウェアはDRMフリーのEPUBファイル閲覧に特化していますが、MITライセンスの下で公開されるため、ユーザーはソースコードを自由に閲覧・改変することが可能です。

ストレージにはユーザー交換可能な2GBのmicroSDカードを採用しており、システムの入れ替えも容易です。また、搭載されているESP32チップ自体はWi-Fi 4およびBluetooth 5.0をハードウェアレベルでサポートしています。標準状態では無線機能が無効化されていますが、ユーザーがファームウェアを書き換えることで、インターネットブラウジング機能の実装や、Bluetoothキーボード・ヘッドフォンの接続といった機能拡張が可能になります。

「与えられた機能を使う」のではなく、「必要な機能を自身で実装する」というプロセスそのものを楽しめる層にとって、非常に魅力的なプラットフォームと言えるでしょう。

エンジニア魂を刺激するニッチなコレクターズアイテム

「Diptyx」の価格は230ドル(別途送料12ドル)で、出荷は2026年5月頃が見込まれています。スペック上のコストパフォーマンスのみを追求すれば、既存の商用Androidタブレットや専用電子書籍リーダーに分があります。しかし、ハードウェア設計を含めた完全な透明性と、ESP32ベースというハッカブルな性質は、他にはない独自の価値です。

週末に秋葉原でパーツを物色し、自分だけの環境を構築することに喜びを感じる「ハッカー層」や、ユニークなフォームファクタを愛する「ガジェット愛好家」にとって、本機は長い出荷待ち時間を経てでも手に入れる価値のある、ロマン溢れる一台となるでしょう。