2026年のスマホ価格は平均約7%上昇か。AIサーバー需要による深刻なメモリ不足が直撃、BoM高騰でスペックダウンや出荷減の懸念も

連日騒がれている価格高騰のニュースですが、PCやタブレットに限らずスマホ市場にも影響が及ぶ可能性も出てきています。

次世代AIサーバーへの投資加熱が、スマートフォン市場に深刻な副作用をもたらそうとしています。Counterpoint Researchの最新予測によると、2026年のスマートフォン市場は、世界的なメモリ(DRAM)不足により製造コストが急騰。こ

れにより、端末の平均販売価格(ASP)は約7%上昇し、逆に出荷台数は減少に転じると見込まれています。本稿では、AIブームの裏で進行するサプライチェーンの逼迫状況と、メーカー各社が強いられる「スペックダウン」などの苦渋の対応策について、技術的背景を交えて解説します。

AI需要によるDRAM供給逼迫が製造原価を直撃

今回の価格上昇予測の根本的な要因は、NVIDIA製システムなどを搭載したAIサーバー向けの需要爆発にあります。利益率の高いデータセンター向けDRAMへの供給が優先された結果、標準的なスマートフォン向けメモリの供給が絞られ、価格高騰を引き起こしています。

この影響は、端末の製造原価(BoM:Bill of Materials)にダイレクトに反映されています。特に深刻なのが200ドル以下のローエンド端末で、本年の製造コストはすでに20%から30%上昇しています。ミッドレンジからハイエンド帯においても10%から15%の上昇が見られ、この傾向は2026年前半にかけてさらに加速すると予測されます。Counterpointのアナリストは、メモリ価格がこの期間にさらに40%上昇する可能性を警告しており、部材コストの管理は限界を迎えつつあります。

「スペックダウン」や「Proモデル誘導」など苦渋の選択

BoMの高騰に対し、メーカー各社は製品ポートフォリオの再構築を迫られています。2026年のスマートフォン出荷台数は、当初の成長予測から一転し、前年比で2.1%の縮小が見込まれています。

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コスト吸収が困難な中小規模のメーカー、特にコストパフォーマンスを重視する中国系ブランドなどは、以下の対策を講じ始めています。

  • コンポーネントのグレードダウン: メモリコストを相殺するため、カメラモジュール、ディスプレイ、オーディオ機能などの仕様を意図的に下げる。

  • 旧世代パーツの流用: 最新パーツの採用を見送り、既存の在庫や旧規格の部品を使用する。

また、利益率を確保するための戦略として、消費者をより高価な「Pro」モデルや上位バリアントへ誘導する動きが活発化しています。ハイエンドモデルであればコスト上昇の影響を相対的に小さく抑えられるためですが、消費者にとっては「実質的な値上げ」あるいは「据え置き価格でのスペック低下」という厳しい選択肢を突きつけられることになります。

二極化が進む市場構造と消費者への影響

このコンポーネント不足を乗り越えられる企業と、そうでない企業の差は明確です。AppleやSamsungといった巨大企業は、そのスケールメリットとプレミアム市場での強力なプレゼンスにより、コスト上昇を吸収、あるいは価格転嫁する余力を残しています。一方で、薄利多売モデルに依存していたメーカーは正念場を迎えることになります。

結論として、2026年のスマートフォン平均販売価格(ASP)は6.9%上昇すると予測されており、消費者の負担増は避けられません。もし、ハイエンドかつ妥協のないスペックの端末への買い替えを検討しているのであれば、本格的な「メモリ・クランチ(不足)」の影響が製品仕様に波及する前の、現在の市場在庫が豊富な時期に決断を下すのが賢明と言えるでしょう。