書くことだけに集中するための「デジタルタイプライター」として注目を集めていた「Zerowriter Ink」が、ついにクラウドファンディング出資者への出荷を開始しました。
このデバイスは、電子ペーパー(E Ink)ディスプレイとメカニカルキーボードを組み合わせた製品で、余計な通知や機能に惑わされない執筆環境を提供します。

クラウドファンディング終了に伴い価格は279ドルへ改定されましたが、オープンソースハードウェアとしての拡張性や、数週間に及ぶバッテリー駆動時間など、独自の魅力を備えた本機の詳細な仕様と現状について解説します。
5.2インチE Inkとメカニカルキーボードを融合させた執筆特化デバイス
「Zerowriter Ink」は、ESP32マイクロコントローラーを心臓部に採用したポータブルワードプロセッサーです。最大の特徴は、視認性が高く目に優しい5.2インチ(1280 x 720ピクセル)のE Inkディスプレイと、打鍵感にこだわったメカニカルキーボードの組み合わせにあります。キーボードには「Kailh Choc V2 Low Profile Red」スイッチ(リニア軸)と専用キーキャップを採用した60%レイアウトのものを搭載しており、コンパクトながら本格的なタイピング体験を実現しています。
筐体サイズは300 x 195 x 15mmで、一般的な13インチラップトップよりも小型ですが、既存の13インチ用スリーブケースに収納可能なサイズ感です。インターフェースには充電およびデータ転送用のUSBポートに加え、ストレージ拡張用のmicroSDカードリーダーを備えています。また、Wi-FiとBluetoothもサポートしており、作成したテキストデータの管理も容易です。特筆すべきは5,000mAhのユーザー交換可能なLiPoバッテリーで、開発者によれば「1回の充電で数週間の日常使用」が可能とされています。
一般販売価格は279ドル、オープンソースによる高い拡張性も魅力
クラウドファンディングキャンペーンを成功させた開発者のAdam Wilk氏は、初期ロットの出荷を開始したことをアナウンスしました。キャンペーン期間中は199ドルで提供されていましたが、現在は一般販売価格として279ドルに設定されています。現時点での注文分に関しては、2026年3月上旬の出荷が見込まれています。
本機のソフトウェアはオープンソースで開発されており、デフォルトのファームウェアには基本的なワードプロセッサー機能に加え、文字数カウントや執筆時間の追跡ツールが含まれています。さらに、Arduinoベースのソフトウェアと互換性があるため、ユーザー自身がコードを記述したり、サードパーティ製のソフトウェアをインストールしたりといったカスタマイズも可能です。いわゆる「writerDecks(執筆専用端末)」と呼ばれるジャンルの中でも、ハード・ソフト両面での自由度の高さが本機の大きな優位性と言えるでしょう。
固定式画面の留意点とクラムシェル型「Zerowriter Fold」の構想
購入を検討する上で留意すべき点は、本機がラップトップPCのようなクラムシェル(折りたたみ)構造ではなく、ディスプレイがキーボード上部に固定された一枚板のデザインであることです。画面角度の調整機能はなく、常に上向きに配置されたスクリーンを見下ろす形での使用となります。
開発者は現在、ユーザーからのフィードバックを募りつつ、折りたたみ可能なクラムシェル型モデル「Zerowriter Fold」の構想も明らかにしています。ただし、これは現段階ではコンセプトモデルの域を出ておらず、製品化の時期は未定です。したがって、現時点で入手可能なオープンソースのE Ink執筆端末としては、この「Zerowriter Ink」が最も有力な選択肢となります。




