衝撃コスパのシャオミ新型タブ「Mi Pad 5」登場で最も苦しむメーカーは

シャオミから、また衝撃的なコストパフォーマンスの新商品が登場しました。

タブレット「Xiaomi Mi Pad 5」と「Xiaomi Mi Pad 5 Pro」です。

これらがいかに凄まじいコスパの高さなのかは後述しますが、このゲームチェンジャーと言っても過言ではない新商品の登場によって、もっとも苦しむメーカーはどこでしょう?

アップルでしょうか?

あるいは、ファーウェイで空いたタブレット市場の穴を埋めようと新商品投入を加速してきた、レノボやその他有象無象の中華メーカーでしょうか?

いいえ。これで最も苦しむのは、間違いなくサムスンでしょう。

その理由の前に、Mi Pad 5/5 Proのおさらいから。

Xiaomi Mi Pad 5/5 Proおさらい

昨日発表され、まず中国市場への投入が明かされたこれら2モデルをおさらいしておきます。

まずは下位モデルである無印Mi Pad 5から。

チップセットに最大2.96GHzでAdreno 640 GPUを搭載したSnapdragon 860、6GB LPDDR4X RAM、128/256GB UFS3.1ストレージ、11インチ(2560×1600)ディスプレイ、120Hzリフレッシュレート、240Hzタッチサンプリングレートと基礎体力はハイエンドと言っても過言ではありません。

カメラはメインが13MP、フロント8MP、バッテリーはtyp値で8,720mAh。

Dolby Atmos対応のクアッドスピーカーを搭載し、511gで↓のように3色です。

また、AppleのMagic KeyboardやApple Pencilのような、キーボードカバーとペンにも対応しています。

衝撃的なのは価格で、このハイスペックでなんと128GBモデルが1,999人民元、約3.4万円です。

続いてはProの方です。

こちらは白黒の2色。Wi-Fiモデルは両色あり、5G対応のCellularモデルは黒のみです。

スペックは、Wi-FiモデルがSnapdragon 870、6GB LPDDR5 RAM、128GB/256GB UFS3.1ストレージ、11インチ(2560×1600)ディスプレイは無印と同じく120Hz/240Hz、バッテリーは8,600mAhです。

カメラはメインが13MP+5MP、フロント8MP。

Proの方は8GB RAMに256GBストレージ、メインカメラが50MPとなっています。

この超スペックで、6GB/128GBが2,499人民元(約4.3万円)、Proの方は3,499人民元(約6万円)です。

コスパの高さは世界一でしょう。

シャオミはインパクトを大事にする会社

シャオミは、インパクトを大事にする会社です。

いつも、自社製品が最もインパクトを与えられるセグメントを慎重に見極めた上で、新製品を投入します。

たとえば日本のSIMフリー市場にFelica搭載で今年投入したXiaomi Mi 11 Lite 5Gは、SenseシリーズやOPPOが強かった日本のSIMフリー市場で売れ筋のミッドレンジ帯に、従来機とは一線を画すコスパバランスで投入されました。

現在は売り切れが続くほどの人気です。

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今回のMi Pad 5/5 Proは、スペックから分かるようにミッドハイ~ハイエンド帯を狙った商品になっています。

ハイスペックなAndroidタブレットは絶滅したとまで言われていましたが、そのセグメントに、ここまでのハイコスパな新商品を3年ぶりに投入したのです。

その狙いは何でしょうか?

まずは現在のタブレット市場がどうなっているかのおさらいです。

現在のタブレット市場とシャオミの狙い

現在、世界のタブレット市場は、二桁成長を続けています。

テレワーク拡大や部材供給制約でノートPCのサプライが頭打ちになっていることも寄与しています。

そういった中で、レノボをはじめ大手メーカーが新商品を次々と投入している流れがあります。

シャオミの3年ぶりの新タブレット投入も、そういった潮流の中にあることは明らかです。

タブレット市場は、主にコンテンツ視聴を楽しむための廉価帯(iPadでいえば無印)と、オフィスソフトなどのプロダクティビティ用途や、動画・画像編集のためのクリエイティブ用途のためのハイスペック帯(iPad Air / iPad Pro)の大きく2つに分かれます。

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中でも、今回のMi Pad 5/5 Proは、いずれも主に後者をターゲットにした商品です。

シャオミは「成長しているタブレット市場に、自社が最もインパクトを与えられるのは高価格帯」と判断したということでしょう。

確かに、有象無象のメーカーがひしめくコンテンツ視聴用の廉価Androidタブレットの市場に、たとえば1万円で新商品を出したところで、インパクトはしれています。

スペックは低いですが1万円以下のタブレットも珍しくありませんし、うまみもほとんど無いでしょう。

タブレットシェア不動の1位はApple。では2位は?

そんなタブレット市場、いつもシェア3割を超える不動の1位は、もちろんアップルです。

では2位はどこでしょうか?

よく「ファーウェイの抜けた穴を狙って各社がタブレットを投入している」と言われます。

では、2位はファーウェイでしょうか?

いえ、そうではありません。これまで、現在に至るまで不動の2位はサムスンでした。

確かにファーウェイは破竹の勢いでタブレットのシェアを伸ばしていましたが、2位は安定して15~20%のシェアを持ち続けたサムスンだったのです。

日本でほとんどタブレットを投入していないのでイメージがないかもしれませんが、ざっくり言うとアップル3割、サムスン2割、続いてレノボとアマゾンが5~10%程度で、残りは有象無象という中で、ファーウェイが急速に追い上げていたという市場なのです。

タブレットだけではないサムスンの悪夢

そんなサムスンのモバイルセクターは現在、スマホもタブレットも、必死になって高付加価値商品で生き残りを図ろうとしています。

廉価帯では中国メーカーとの苦しい戦いがあるため、強みであるAndroid高付加価値帯でのシェアを維持するために、莫大な投資を続けています。

かつて巨人であったLGも、スマホにおいて同様の戦略をとりましたが、うまくいかず撤退となりました。

ハンドリングを間違うと、あっという間に追い落とされてしまうという強い危機感がサムスンにはあるはずです。

アップルは独自プラットフォームとエコシステム、極めて高いユーザーロイヤリティで、台数は削られても高い利益率を維持しています。

タブレット市場で2位のサムスンも、Galaxy Tab S7シリーズなど高付加価値な商品を積極投入してきました。

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価格帯は、おおむねアップルに倣っています。

また、折りたたみへの投資も、同じく高付加価値カテゴリを維持しようとする流れの一環でしょう。

それで、なんとかグローバル2位を維持していたのですが、利益率が高くサムスンが強かったその市場を、利幅を極限まで削ることで、まるっと奪い取ろうというのがシャオミの戦略です。

先日はスマホもシャオミが世界1位になりました。1位はずっとサムスンでしたが、ついに追い落とされたのです。

ハイエンドタブレット自体は、それほど大きなインパクトはないかもしれません。

ただ、その先には、ハイエンドスマホ、折りたたみなど、サムスンにとっての稼ぎ頭や次世代の稼ぎ頭(にしたいもの)に対しても、シャオミは同じような戦略で襲いかかってくるでしょう。

それこそがサムスンの悪夢なのです。

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