3万円UMPC「NANOTE NEXT」レビュー!初代からどのくらい進化?【7インチ極小ノートPC】

今回は、色々な意味で話題が尽きないドン・キホーテののUMPC(超小型ノートパソコン)「NANOTE」(ナノート)の最新モデルである「NANOTE NEXT」が届きましたので、レビューしていきます。

おなじみ、2~3万円という爆安価格で購入できる片手サイズのWindowsノートパソコンです。

NANOTEシリーズは、ドン・キホーテのプライベートブランドである「情熱価格」の人気商品。

初代NANOTEは↓でレビューしました。税別19,800円という衝撃プライスで購入できるUMPCとして、またAtom Z8350でWindows 10を稼働させる超激遅仕様など、色々な意味で面白い商品でした。

下記でお伝えしていた、ドン・キホーテのプライベートブランドである格安PCライン「情熱価格PCシリーズ」の新商品「NANOTE(ナノート)」。...

初代はツッコミどころも多く、オタクのオモチャとしては最高だったのですが、一般のユーザーには到底お勧めできるシロモノではありませんでした。

今回レビューする「NANOTE NEXT」は、価格が税別29,800円(税込32,780円)と約1万円のアップ。

それに伴い、CPUはAtom Z8350からPentium J4205に、ストレージはeMMCからSSDに進化しています。

廉価中華PCほどのスペックですが、これはどの程度使えるのか!?初代ともみっちり比較しながら見ていきたいと思いますよ!

ちなみに、本機は5/16(月)から全国のドン・キホーテ系列店で販売開始します。

現在は楽天の↓のページで先行予約販売が開始されており、この予約枠でゲットした実機を今回はレビューします。

まずは結論から言いますと、「初代から性能は倍に進化!それでもまだ激遅だからオタクのオモチャ!ブラウジングやメールくらいならまあまあ使える」といったところです。

たとえばCINEBENCH R23のベンチマークスコアを見てみると、初代NANOTEが↓の通りマルチコア376pts/シングルコア148ptsという犯罪的な低スコア。

これに対し今回のNANOTE NEXTでは、↓のようにマルチコア648pts/シングルコア284ptsとなっており、ざっくり倍近くの性能にアップしています。

ストレージの読み書き速度も、後述するように倍近くのスピードに。

ただ、CINEBENCHやCrystalDiskMarkを回したことがある方は分かると思いますが、”初代の倍”とはいえ、そもそもこのスコアは激遅です。

分かりやすく言うと、たとえば最新の省電力版Core i5やi7を搭載した、誰にでもオススメできるVAIOやLet’s noteなどのノートパソコンと比べると、10分の1くらいの性能です。

ストレージの読み書きも、10分の1から20分の1くらいのスピード。

価格も10分の1なのですが。

また、↓でレビューしたCeleron N4100搭載の「Teclast F6 Air」でも1,180pts/380ptsですので、これよりもマルチコアで半分、シングルコアでも劣ります。

今回は、Teclastから登場した新型の13.3インチモバイルノートパソコン「Teclast F6 Air Laptop」をレビューしていき...

↓でレビューしたCeleron N5100搭載「Alldocube GTBook」と比べると、リアルに半分ほどです。

今回は、AndroidタブレットでおなじみAlldocubeが放つCeleron N5100搭載モバイルノートパソコン「Alldocube ...

つまり、「持ち運び用に軽くて気軽に使えて、ライト用途をこなせるサブ機が欲しいな!」という程度の期待であれば、間違いなくストレスで発狂します。そういう方は、VAIOやLet’s noteを買いましょう。(私もそれらを使っています)

それでも、たとえば超変則キーボード配列に毎回細かく色々調整が加えられていたり、なんとしてでも税別2万円台をキープしようとしたり、そもそもこの価格で全国チェーンがPBでUMPCを出してやろう!という心意気に染み入るものがあるので、あとそもそもUMPCが好きで好きでたまらないので、私はこのシリーズを買い続けるのです。

それでは、見ていきましょう。

外観とスペック

外箱サイズは初代よりも大きくなっています。ドン・キホーテだけに、量販の店頭に置かれていそうなパッケージデザイン。

まず、スペックは下記の通りです。

  • 型番:UMPC-03-SR [SILVER]
  • CPU:Intel Pentium J4205
  • GPU:Intel HD Graphics 505
  • OS:Windows 10 Home
  • ディスプレイ:7インチ(1920×1200)IPS
  • タッチ操作:10点マルチタッチ
  • RAM:8GB LPDDR4
  • ストレージ:64GB SSD
  • 通信:802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
  • webカメラ:フロント0.3MP
  • サイズ:181×113.6×19.6mm
  • 重量:556g(実測)
  • バッテリー容量:2,050mAh
  • ポート類:USB Type-C、USB3.0 Type-A、microHDMI、3.5mmイヤホンジャック、microSDカードスロット(最大256GB)

このパフォーマンスは後述するとして、色々と妥協を強いられるスペックであることは間違いありません。Wi-Fiはb/g/nですし、バッテリー容量は2,050mAhしかありません。実際の駆動時間は2~3時間程度。

一方でディスプレイは高解像度で、一応8GB RAMやSSDストレージを搭載している点は進化ポイント。(遅いのですが)

冒頭、Celeron N4100やN5100と比べても半分程度のスピードであり、不自由なく使える”サブ機”が欲しいというような方にはオススメできません。

同梱物は下記の通り。USB充電アダプター、マニュアル類。

アダプターは30wです。スマホ向けチャージャーでも充電出来ますので、このアダプターを使わなくても大丈夫です。

ドンキのPBなので、もちろんマニュアルは日本語。丁寧な説明が書かれています。

7インチなので、このサイズ感。

なんだかんだ言っても、UMPCを愛するデイリーガジェットとしては、このサイズ感はいつもワクワクするとしか言いようがありません。

コンパクトサイズのiPhone SEと比べても↓の通り。いかに小さいか分かると思います。

重量も実測で556gです。iPadよりちょい重い程度です。手に取ると、軽いなあと感じます。

右側面には、microSDカードスロット、イヤホンジャック、microHDMI、USB3.0 Type-A、充電兼ねたUSB Type-C、マイク。

前面にはデュアルスピーカーを搭載しています。

左側面には何もありません。

背面には空気穴。全体アルミ外装で、デザインはモダンです。

底面にはゴム脚と、技適番号やプロダクトキーが書かれたシールが貼られています。プラスドライバーで簡単に開けそうなので、中身は別の記事で配信しますね。

そして、初代から引き続き、360度画面回転でWindowsタブレットとしても使える2-in-1機構を備えています。

後述するように筐体は初代とほぼ全く同じなので、このあたりの作りも同一。

初代NANOTEとの比較

↓の左が初代、右が今回のNANOTE NEXTです。外箱は大きくなっていますが、筐体の大きさや素材など全く一緒。

並べてみると↓の通り。

ポート類も完全一致です。↓

もちろん背面も。

重量は、NEXTが556gに対し、

初代は543g。10gちょっと重くなっています。

金型や素材は同じものを使っているのですが、次に見ていくようにキーボードはいくつか修正が入っています。

キーボードやタッチパッドはどう変わった?

まずはNEXTのキーボードから。

↓のように、右上に電源ボタン、OneMixタイプの極小ポインティングデバイスに、超変則配列日本語キーボード。

キーピッチは16mmです。このサイズにしては広めに取られています。

キーピッチとしてはタッチタイピングも可能な広さ。一方でこの変則的配列に慣れるかどうかで使い勝手は左右されます。

本体が軽いので、↓のように親指タッチでもいけます。

初代NANOTEとの比較が↓です。上がNEXT、下が初代です。

基本思想はかなを内側にそろえることですが、こうして見ると、Caps LockがTabになったり、句読点と括弧が入れ替わったりと、かなり多くの修正が入っていることが分かります。

初代で右クリックボタンの脇にあったバックスラッシュは、Ctrlになっています。これが地味に便利で、左手小指位置になくともショートカット入力がはかどります。

明確な改悪はハイフンやアットマーク。特に多用するハイフンは、初代は比較的自然な位置だったのですが、NEXTではそこがScroll Lockになっていて、最上段中央部に移動しています。

これは理解に苦しむ修正です。

実際の使い勝手

ディスプレイは高解像度なので、表示が荒いということはありません。デフォルト200%の拡大率ですが、150%ほどでちょうど見やすさと情報量のバランスが取れます。

一方で輝度は暗め。

↓のようにYouTubeの高画質再生は問題なく、再生位置をずらしても初代のように固まったりしません。ブラウジングや動画視聴は、比較的まともになってきました。

スピーカー音質は悪いですが、UMPCと考えれば許容範囲。

肝心の処理性能ですが、Windows Updateにかなり時間がかかったり、その影響でフォアグラウンドの処理が引っかかったりといった残念ポイントは引き続き(初代よりはマシですが)。スリープからの復帰やWindowsの起動も、数秒~数十秒待たされます。

ただ、一度起動しUpdateも完了してしまえば、ブラウジングやメールだけなどのシンプルユースケースであれば、意外に動いてくれる印象。

Office Mobileが入っていると説明書にはありましたが、プリインされているのは通常版のライセンス認証前版でした。

ベンチマークスコア

最後にベンチマークを見ておきます。

本機に搭載のPentium J4205はクアッドコア。初代のAtomもコア数は同じく4でした。

冒頭でも書いたとおり、CINEBENCH R23のスコアは、初代NANOTEが↓に対して、

今回のNANOTE NEXTは約倍の性能となる↓の通り。

とはいえ、他CPUと比べると↓のように遅いことには変わりありません。

冒頭の再掲になりますが、↓でレビューしたCeleron N4100搭載の「Teclast F6 Air」でも1,180pts/380ptsですので、これよりもマルチコアで半分、シングルコアでも劣ります。

今回は、Teclastから登場した新型の13.3インチモバイルノートパソコン「Teclast F6 Air Laptop」をレビューしていき...

↓でレビューしたCeleron N5100搭載「Alldocube GTBook」と比べると、シングル・マルチいずれも半分ほどです。

今回は、AndroidタブレットでおなじみAlldocubeが放つCeleron N5100搭載モバイルノートパソコン「Alldocube ...

ストレージがeMMCからSSDに変化したことがパッケージでも大きく訴求されており、実際に↓のようにEAGETのストレージが入っています。

CrystalDiskMarkの計測値は、初代が↓に対して、

今回のNEXTは↓の通り。倍近くのスピードになっています。

これについても、SATA SSD搭載の一般的な廉価帯のモバイルノートパソコンと比べても、半分程度の遅さ。

総評:実用性を求める機種ではない

以上、ドン・キホーテの最新7インチUMPC「NANOTE NEXT」をレビューしてきました。

スピードの遅さやキーボード配列の特殊さ、そもそものサイズ感を考えても、いわゆる11~13インチクラスの一般的なモバイルノートパソコンに求められるような実用性は期待できません。

そういう意味で、マスにオススメできる機種にはなっていません。

ただ、初代と比べると明確に改善していることも確か。

PCに詳しい人がオモチャ的に買うとか、メイン機サブ機にすることはないがUMPCが何らかの理由で欲しい方などには、選択肢に入るレベルになってきたと思います。

何より、税込3万円程度でポケットサイズのPCが買えるというのは非常に楽しい状況です。

気になった方は、ぜひチェックしてみてください!

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コメント

  1. 新生ギンコ より:

    遅い遅いと言われても、比較対象がCoreシリーズ、しかもi9やi7では「そらそうやろ」としか思えません。軽自動車とF1マシンを比べ、遅い遅いとバカにするようなトンチンカンさを覚えます。

    もっと近いもの、Celeron4000あたりと比較してもらえると、価格帯からも参考になるのですが。