UMPC(超小型ノートパソコン)は、↓のGPD P2 MaxやOneMix3に代表されるような、7~8インチのとても小さなノートパソコンです。
ノートパソコンは、据え置き利用が主流の15.6インチがもっとも売れ筋でスタンダードサイズと呼ばれ、持ち運び用のモバイルサイズでも13.3インチ、一番小さいものでも10.1~11インチが一般的です。
UMPCはそれよりも小さく、まさに頑張ればポケットに入るノートパソコンです。
UMPC(超小型ノートパソコン)大好きメディアとして網羅的にUMPC情報を発信しているデイリーガジェットですが、2019年はまさに豊作の年でした。
元からのGPD社に加えて、OneMixシリーズの拡充、Chuwi社の参入のほか、様々なニュースがありました。
デイリーガジェットはUMPCが好きすぎて、勢い余って自分たちで作ろうとしているくらいです。↓
2020年もさらにこのジャンルは面白い展開を遂げそうです。
今や中国のECサイトだけでなく、日本の家電量販店にも旗艦店にはGPD社やOne-Netbook社のUMPCが並んでいます。
ご存じ家電量販店、特に旗艦店は、売場の利益効率に極めてシビアです。
そこでコーナーを持つということは、ニッチながら一定以上のニーズがあるということです。
そもそもなぜここ数年、UMPCが流行っているのでしょうか?
UMPC – これまでの簡単なおさらい
もともと2000年代にも日本メーカーを中心にUMPCのブームがあったのですが、その時代のモデルはほぼすべて、CPUに非力なAtomを搭載しており、正直言って使い物になりませんでした。(あくまでフルWindowsの話です。PDA除く)
Windows Updateに下手したら何時間もかかるレベルです。
「わくわくするけど使えないよね」ということで、その後しばらくUMPC冬の時代がやってきます。
そこからブランクを経て、2017年の初代GPD Pocket、GPD Winの発売を大きな転機としてUMPCの再ブームがやってきています。
2018年までは7インチサイズのGPD Pocket、GPD Pocket2、OneMix2Sがメインでしたが、その後2019年になってからは、8インチクラスが主流になりました。
GPD P2 Maxは8.9インチ、OneMix3シリーズは8.4インチです。
最新モデルのOneMix 3Proは、最新の第10世代Core i5を搭載しながら10万円台前半という価格を実現し、日本語キーボードも展開する魅力的なモデルに仕上がっています。
UMPC再ブームの3つの要因
さて、ではここ数年のUMPCブームは、なぜ起こっているのでしょう?
理由は3つあります。
1.省電力モバイルCPUの進化
まず最大の要因は、省電力モバイルCPUの進化です。
非力で使い物にならなかったAtom自体が2015年のCherry Trail以降、「それなりに使える」レベルまで進化しましたし、Core mシリーズや第10世代Coreプロセッサモバイル版など、UMPCサイズに収まる省電力小型CPUの性能が飛躍的に伸びたことで、「普通に使える」パフォーマンスを獲得しました。
現在、すでにパフォーマンス観点ではほとんどの用途では十分といえるところまで来ました。
ただ、課題はバッテリー稼働時間です。
↓にまとめたように、今後、SnapdragonなどARMアーキテクチャ系の進化とWindowsの対応が進めば、バッテリー稼働時間も大きく伸びていくことが期待できます。
2.深圳のエコシステム
二つ目の要因としては、深圳のエコシステムがあります。
深圳には、全世界の電子デバイス製造を支える極めて高度な設計・製造プロセスの分業体制、およびサプライチェーン機能の集約と、金型使い回しなどのある意味ルーズな面が同居しています。
これにより、一度作られた製品によく似た製品(場合によってはブランド名だけ変えて中身が同じ製品)が、雨後の竹の子のように次から次へと市場に投入されます。
そのため、UMPCが売れるとみるや、ほぼ同じ金型を使って少しでも安くハイスペックな(すなわちコスパが高い)製品が次から次に出てくることになります。
メーカーにとってはとんでもなく熾烈な環境ですが、ユーザーにとっては最高な状態です。
UMPCに限らず、デイリーガジェットの名前にもなっているいわゆる「ガジェット」ブームが広まった背景には、Amazonなどのオンラインストアの発展と、間違いなくこの深圳のエコシステムが根底にあります。
このような中、次から次にコスパに優れた新型UMPCが登場してきたことで、ユーザーも増えてきたということです。
筆者もそうなのですが、ビジネスで深圳と関わってきた方はご存じの通り、2000年代初頭は、まだ深圳は香港や台湾の製造拠点という位置づけでした。
ただ2010年代後半からは、Huaweiを持ち出すまでもなく、研究開発から企画、設計、製造に至るまで、世界のエレクトロニクス産業の最先端になりました。
UMPCを製造するOne-Netbook社もGPD社(GPDは厳密にはサブブランドですが)もChuwi社も、すべて深圳の会社です。
3.モバイルPC利用の拡大
↓にまとめたIntelの「Project Athena」を持ち出すまでもなく、PC利用は大きくモバイルにシフトしてきています。
上記の記事にも書きましたが、ノートパソコンの進化の大きな部分は、インテルの指針によって方向付けられてきました。
これまでCentrinoでノートPCが軒並み無線LAN対応し、Ultrabookで薄型化が進み、今後はProject Athenaで狭ベゼル・長時間バッテリー・インスタント起動・2in1フォームファクタ・WiFi6対応・AIアシスタントなどで外出先のPC作業がどんどんはかどるようになっていきます。
インテルはこれらの方向性を、膨大なリサーチで集まったデータによって打ち出していますし、実際にプラットフォームをこの自社のダイレクションに沿って開発していきますので、ほぼ間違いなくこの方向でノートパソコンは進化していくでしょう。
多くはスマホが先行しているフィーチャーですが、スマホとの違いは、「プロダクティビティ」です。
外出先でも、オフィスや自宅とほぼ変わらずPC利用の作業を集中してできるようになる、というのが鍵です。
UMPCは、画面や入力のハンディキャップはあるものの、多くの点でこれら「Project Athena」と親和性が高い要素を兼ね備えています。(ただしこれまた携わってきた方はご存じの通り、Intelが「Ultrabook」や「Engineered for Mobile Performance」認証を与えるのは恐ろしいほど細かい基準があるので、UMPCは「Engineered for Mobile Performance」認証PCにはならないかもしれませんが)
というわけで、これまで流行したテレワークやノマドワーキングなど、決まったオフィス以外で仕事をするという今後増えていくであろうワークスタイルにも合っているというのが、UMPCが流行している理由の一つとしてあります。
実際、↓の記事で非常に簡単なデータ集計を行いましたが、やはりUMPCのユースケースとして「仕事」を想定しているユーザーは世界的に主流なようです。
今後もUMPC情報を発信しまくる所存!
というわけでデイリーガジェットでは、2020年もUMPCに関するあらゆるニュースや読み物を積極的に配信していきます。
提供いただいたことは明記していますが、客観的に良い点と悪い点を書きながらも愛を込めてレビューしますので、メーカーや代理店の方も、お気軽にご連絡ください!
動画部のケンもがんばっていますし、ライターも徐々に増えていますので、ぜひ2020年もデイリーガジェットをよろしくお願いいたします!!
(みんな結構傷ついていますので、できれば批判はお手柔らかにお願いします……)
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