今回は、AYAから新登場したAndroidゲーム機「AYANEO Pocket S」をお借りしたのでレビューします。
4nmプロセスでKryoコア、TDP 15wというQualcommのハイパフォーマンスな携帯ゲーム機用SoCを搭載しているほか、↓のようにディスプレイ側がガラスパネル、かつ本体が携帯ゲーム機としては薄く小型という、魅力的な一台となっています。
ハードだけでなくソフト面も、コントローラーによるUI操作が一般的なAndroidゲーム機よりも作り込まれていて、使いやすくなっていました。
現在予約受付中で、発送は7月中旬予定。(1440p版は7月末)
代理店であるハイビームのこちらのページで、1080p/12GB/128GB版が89,800円、1080p/16GB/512GB版が109,800円、1440p/16GB/512GBが114,800円となっています。
↓のアマゾンでも予約受付中です。
それでは、見ていきましょう!
外観とスペック
全面には、↓のように6インチディスプレイのほか、Xbox式のゲームパッドと、左下にはAndroidのタスク・メニューボタン、右下にはAYAボタンとホームボタンがついています。
全面はガラス製、背面は↓のようにプラスチック製となっています。
スペックを見ておきましょう。
ディスプレイ解像度とメモリで、大きく3種類に分かれます。
1440p版は、6インチ(2560×1440)ディスプレイ、16GB/512GBメモリです。今回のレビュー品はこちら。
1080p版は、6インチ(1920×1080)ディスプレイ、12GB/128GBもしくは16GB/512GBメモリです。
その他は共通で、SoCにはQualcomm Snapdragon G3x Gen 2 Gaming Platform、Adreno A32 GPU、LPDDR5x-8533Mbps RAM、UFS4.0ストレージ(128GB版はUFS3.1)、6,000mAhバッテリー、Android 13という構成。
SoCのコア構成は、Cortex-X3@3.36GHz x1、A710@2.8GHz x2、A715@2.8GHz x2、A510@2.02GHz x3となっています。
通信はWi-Fi7とBluetooth 5.3。本体サイズは213.9x85x14mmです。
センサ類は、加速度計とジャイロスコープ。光・近接・磁気センサやGPSは非搭載で、SIMは非対応です。スマホではなく、あくまでゲーム用の端末ということでしょう。
残念ポイントとしてはwidevineがL3であることで、Netflixなどの有料サブスク動画の高画質再生ができません。(量産機では変わるかもしれません)
生体認証は電源ボタン兼用の指紋認証。↓のように、本体上部に、L/Rの各3ボタンと合わせて、電源・音量ボタンがついています。
底面には、↓のようにUSB3.2 Gen2 Type-Cポート。
右側面には、↓のターボモードをONにするスライドがついています。これをONにすると、後述するように本体の発熱やファン音も上がりますが、パフォーマンスが爆上がりします。
左側面には、↓のようにmicroSDカードスロットがついています。
重量は実測で361g。一般的なスマホよりは重いですが、携帯ゲーム機と考えると軽いです。また、コントローラー部がついているので、本体サイズと比較して軽く感じます。
他の携帯ゲーム端末との比較
本機のサイズ感を、他の携帯ゲーム端末と比較してみましょう。
まずポータブルゲーミングPCのASUS ROG Allyから。↓のように、Windows端末のROG Allyと比べると、だいぶコンパクトです。
厚みもまったく違いますね。スマホとポータブルゲーミングPCの違いです。
続いてはSwitch。こちらも、フットプリントは一回り違います。
厚みについては、Switchもだいぶスリムですが、それよりもほっそりしています。
続いては6.8インチのGPD製Androidゲーム端末であるGPD XPとの比較です。
本体のサイズ、厚さともに、本機のスリムさが印象的です。
実際の使い勝手
GPD XPなどよりも幅がスリムということもあり、原神のようなスマホゲームをタッチ操作でプレイするのも、それほど難儀しません。
原神のようなゲームパッド非対応ゲームは、タッチ操作でプレイすることもできますし、Mappingという機能を使ってタッチ操作にマッピングすることでゲームパッド操作でプレイすることもできます。
AYAボタンを押すと、↓のようにパフォーマンスその他の確認や設定ができるパネルが、いつでも右側に出てきます。
本機はゲームパッドの設定がかなり細かくできます。感度や有効スティック角度など、マニアックな設定が可能です。また、一番上のチェックが先ほどのMapping機能で、これをONにすれば、タッチ操作のゲームをマッピングしてゲームパッドで操作が可能です。
↓のように一般的な通信・ディスプレイ周りの設定も。
本機を使っていて印象的なのは、ゲームパッドでのAndroid操作がやりやすいことです。
ホームや戻る、カーソルによるアイコン選択、A/Bボタンによる決定などもそうですし、ホーム画面全体がゲームパッド操作に最適化されたUIになっています。
そのため、大半の操作はゲームパッドからゲーム機ライクに行うことができます。
ベンチマークスコア
続いて、ゲームプレイに直結するパフォーマンスを見ておきましょう。
Geekbench 6のスコアは、通常モードではCPUスコアが↓で、
GPUスコアが↓です。
サイドのスライダーからターボモードをONにすると、ファン音が大きくなり本体もほんのり発熱し、バッテリーも食いますが、↓のようにパフォーマンスは驚くほど向上します。
参考までに、最近レビューした機種のシングルコア・マルチコアスコアは↓の通り。
- UNISOC T606(Alldocube iPlay60 Lite):375/1324
- UNISOC T606(Alldocube iPlay50 mini):379/1372
- Snapdragon 680(Redmi Pad SE):419/1453
- UNISOC T616(Headwolf FPad3):453/1545
- Helio G99(Alldocube iPlay50 mini Pro):708/1867
- Helio G99(Blackview A200 Pro):732/2049
- Helio G99-Ultra(POCO M6 Pro):733/1977
- UNISOC T820(Anbernic RG556):871/2470
- Snapdragon 695 5G(dtab Compact d-52C):882/1966
- Dimensity 7050(Lenovo Tab P12):954/2353
- Dimensity 8020(Blackview BL9000):1111/3140
- Snapdragon 870(Xiaomi Pad 6):1304/3289
- Snapdragon 870(Lenovo Legion Y700):1306/3507
- Google Tensor G2(Pixel 7 Pro):1341/3044
- Apple A12 Biocnic(iPad mini5):1343/2973
- Snapdragon 8+ Gen 1(Zenfone 9):1809/4559
- Snapdragon 8s Gen 3(POCO F6):1840/4684
- Snapdragon 8 Gen 2(Xperia 1 V):2023/5235
- Apple A15 Bionic(iPad mini6):2067/4894
- Snapdragon 8 Gen 3(ROG PHONE 8):2280/7252
GPUスコアは下記の通り。
- Snapdragon 680(Redmi Pad SE):346
- UNISOC T606(Alldocube iPlay60 Lite):445
- UNISOC T606(Alldocube iPlay50 mini):448
- UNISOC T616(Headwolf FPad3):506
- Helio G99(Alldocube iPlay50 mini Pro):1272
- Helio G99(Blackview A200 Pro):1305
- Helio G99-Ultra(POCO M6 Pro):1305
- Snapdragon 695 5G(dtab Compact d-52C):1346
- UNISOC T820(Anbernic RG556):2218
- Dimensity 7050(Lenovo Tab P12):2335
- Snapdragon 870(Xiaomi Pad 6):3274
- Snapdragon 870(Lenovo Legion Y700):3365
- Dimensity 8020(Blackview BL9000):4328
- Google Tensor G2(Pixel 7 Pro):4464
- Snapdragon 8+ Gen 1(Zenfone 9):6136
- Snapdragon 8 Gen 2(Xperia 1 V):7138
- Snapdragon 8s Gen 3(POCO F6):8756
- Apple A12 Bionic(iPad mini5):8,863
- Snapdragon 8 Gen 3(ROG PHONE 8):14486
- Apple A15 Bionic(iPad mini6):19373
これを見ると、ターボモードではCPUパフォーマンスでSnapdragon 8 Gen 2クラス、GPUパフォーマンスではSnapdragon 8 Gen 3に迫るパフォーマンスになることが分かります。
ストレージ読み書き速度は↓の通り。
ゲーミングスマホとは違う方向性の魅力的なAndroidゲーム機
以上、「AYANEO Pocket S」を見てきました。
高いパフォーマンス、小型で薄型のボディ、前面のガラスパネル、ゲームパッド操作に最適化されたUIなど、魅力の高い端末でした。
いわゆるゲーミングスマホとの違いですが、ゲーミングスマホはスマホとしての利用も想定している一方で、本機はスマホ利用は想定していません。
その証拠に、SIMやGPS、widevine L1などに対応しておらず、ハイエンド機に一般的に搭載される近接や光センサなども非搭載です。そもそもカメラもありません。
その代わりに、10万円という価格でハイエンドスマホ級のパフォーマンスや、ゲーム利用に最適化されたデバイス設計が行われています。
ゲーミングスマホとはまた違った方向性のAndroidゲーム機、気になった方は、ぜひチェックしてみてください!
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