【シリーズ往年のミニPC名機】VAIO PCG-C1【すべての未来はここに入っていた】

「シリーズ往年のミニPC名機」とは
小さいPCが大好きなデイリーガジェット編集部が厳選した、ガジェット魂の琴線に触れるミニPCの名機を、機種の古今東西問わず紹介していく連載です。
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さて、今回は、ソニー(現在はVAIO株式会社)が1998年に出した伝説の名機、「VAIO PCG-C1」です。

本機の最大の特徴は、A5サイズというコンパクトボディと、「Motion Eye」と呼ばれる回転式のカメラ搭載、および各種の「マルチメディア機能」です。

画像引用元:ソニー株式会社

今となっては標準になったあらゆる技術が、この小さな筐体には詰め込まれていました。

それはもはや凄みを感じると言っても過言ではないほどの先進性です。

どのような先進性なのか、解説していきます。

まずはスペックから

スペックから見ていきましょう。

  • モデル:PCG-C1MZX
  • OS:Microsoft Windows XP Home Edition
  • プロセッサー:Transmeta Crusoe プロセッサー TM5800 933MHz
  • 液晶表示装置:8.9型 ウルトラワイドSXGA(1280×600ドット)対応 TFTカラー液晶
  • 記憶機器:ハードディスクドライブ 約60GB(Ultra ATA/100)
  • 外部接続端子:
    • USB(本体×1、ポートリプリケーター×1)
    • i.LINK(IEEE1394)S400(4ピン)×1
    • ステレオヘッドホン出力(ステレオミニジャック)×1
    • マイク入力(モノラルミニジャック)×1
    • モデム用モジュラージャック×1
    • バイオ関連製品専用DC OUT(電源供給)×1
    • 外部ディスプレイ出力(VGAタイプ、D-sub15ピン)×1
    • TVアンテナ入力(75Ω)×1
    • ワイヤレス通信機能 本体にBluetooth機能搭載
    • マジックゲート対応メモリースティックスロット×1
    • PCカードスロット Type II×1、CardBus対応
    • オーディオ機能 AC97準拠、MEGA BASS(高低音強調)機能
    • 内蔵モデム 最大56kbps/最大14.4kbps(FAX時)
    • 内蔵ビデオカメラ プログレッシブ方式1/6型CCD35万画素(f=2.8mm F3.4)スローシャッター対応
  • キーボード:約17mmピッチ/キーストローク約2mm/86キー
  • バッテリー駆動時間: バッテリーパック(S):(約2~3.5時間)/バッテリーパック(LLL):(約7~12.5時間)
  • 質量 約998g(バッテリーパック(S)搭載時)

軽量ですね。1kgを切っています。本体サイズもA5なので、iPad miniくらいです。(もちろん厚みは全然違いますが)

何より驚きなのは、「外部接続端子」の多さでしょう。

これこそは、「マルチメディア機能」という本機のこだわりを体現した部分です。

あまりに時代を先取りしていた本機

「マルチメディア」という言葉は、当時よく使われていました。

背景として、それまでパソコンというのは、処理能力やネットの遅さから、動画や画像、音楽などは基本的にしょぼかったのです。

ただ、Windows95が出たあたりから、にわかに3DCGやらDTMやらと、文字以外の情報を扱えるようになってきて、それをウリにするPCが増えてきたのです。

当時、書店に行っても「パソコンでマルチメディア」みたいなキーワードでたくさんの書籍やムックが出ていました。

ですが、多くはスローガンだけで、実利用に堪えるものではありませんでした。

本当にそのあたりを仕事でやっていた人は、ワークステーションという何百万円もする専用機を使ったり、これまた100万円以上するPower Macintoshを使っていたのです。

しかし、こと本機に関しては、今となっては標準化したあらゆるパソコンの使い方を、20年も前に先取りしていました。

たとえば下記のようなことができたのです。(20年前ですよ?!)

  • 本機でテレビを予約録画し、ハードディスクに保存し、外出先でも本機でみられる。外付けDVDにも保存できる。
  • 付属のカメラ「Motion Eye」で動画を撮影し、多彩な効果をつける編集を行える。
  • 「Motion Eye」を使って、テレビ電話ができる。
  • 手持ちのCDや、ソニーが提供するインターネットを介した音楽配信サービスから楽曲を取り込み、本機で管理し、再生できる。また、メモリースティックを介して、ウォークマンやMDウォークマンに入れて、それを持ち運べる。
  • Bluetoothを使って、手持ちのPHSや携帯電話回線で、インターネット接続ができる。
  • Bluetoothを使って、手持ちのデジタルカメラやデジタルビデオカメラを使って、本機のリモートカメラとして利用できる。

どうですか!?

Netflix、Apple Music、iTunes、LTEによるネット接続、モバイル端末によるネット接続など、今では当たり前になったあらゆる機能は、本機が最初に搭載したんです。

しかもA5サイズです。iPad miniと同じくらいのサイズ。(iPad miniより分厚く横長のイメージです)

どれだけすごく、野心的なパソコンだったかお分かりいただけますでしょうか?

Bluetoothなど、今から10年前でもほとんどの人は知らなくて、ごく一部のガジェットマニアが知っているレベルでした。本機はその更に10年前にそれを搭載し、ユースケースも提示していたのです。

驚くべきことだと思います。

MacBookは、VAIOだったかもしれなかった

有名な話として、Appleの創業者で、現在の快進撃を作り上げた中興の祖でもあるスティーブ・ジョブズ氏がMacBookの開発において、VAIOにMacOSを搭載してノートパソコンを作らせてもらえないかと、ソニーに交渉したそうです。

当時のソニーはこれを真剣に検討しましたが、結局断ります。

その後、MacBook、iMac、iPod、そしてiPhoneと、当時のVAIOがその種を作り夢見た世界を、Appleは独自のプロダクトで実現していくことになります。

その先進性の象徴の一つが、PCG-C1なのです。

「Motion Eye」は、今では当たり前になったパソコンやスマホへのカメラ搭載を、世界で初めて実現しました。

画像引用元:Good Old Bits

当時は、多くの人が「ソニーがなんだか奇妙なものを出したなあ。これはデジカメなの?」みたいな受け止められ方でしたが、謎の迫力が本機にはありました。

上記のスペック表で外部端子の数がおかしいのも、この先進性を実現するためのものでした。

筆者はキーボードと筐体サイズが好きでした

無類の小型PC好きである筆者は、本機のサイズ感と、キーボードが好きでした。

A5サイズという独特のニッチを開拓した本機ですが、そのコンパクトさにもかかわらずキーボードはとても打ちやすいものでした。

また、VAIOらしいブルーの筐体色も、未来感溢れて店頭でひときわ目を惹きました。

画像引用元:Good Old Bits

このサイズは、現在に至るまで主流な地位は占めていません。

A4サイズとB5サイズはありますが、A5サイズはほとんどないんですよね。

おわりに

いかがでしたか?

VAIOは、本機といい、Type-Pといい、伝説に残るようなモデルをたくさん出していました。

だからこそ、現在に至るまで、確固たるブランド力を持っているのでしょう。

当時、筆者は学校帰りに家電量販店に寄って、毎日本機をいじっていました。「欲しいなあ、でも高いから買えないよなあ、だれかくれないかなあ」と思っていました。

結局誰もくれませんでしたが、それから20年経って、本機が実現しようとした未来は、スマホやタブレット、小型PC、そしてインターネットによって生活の一部になりました。

素敵な夢をくれてありがとう、と言いたいです。

おわり

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