今回は、ついにGoogleから発売されたAndroidタブレット「Pixel Tablet」を予約購入して使いまくってきたのでレビューします。
Googleのタブレットといえば、Nexusを思い出す方が多いのではないでしょうか。私も、あの小型ボディに小型キーボードケースを付けて、使いにくいながらもワクワクしながら秋葉原をほっつき歩いていた遠い日の記憶があります。
おなじみPixelシリーズのスマートフォンやスマートウォッチを展開しているだけあり、久々に登場したGoogleのタブレットは、ハード・ソフトいずれも非常に完成度高い一台に仕上がっていました。Pixel 7シリーズと同じハイエンドチップセットTensor G2を搭載しています。
とても良く出来たAndroidタブレットです。
一方、現在のタブレット市場ではiPadが覇権を握っており、Androidタブレットにも高価格帯から低価格帯までおびただしい数のラインナップがあります。
そんな中で本機を購入するべきか否かは、タブレットをどういう使い方をしたいかに大きく依存します。
そのあたりの選択を間違うと残念な思いをすることになるため、今回のレビューでは商品を見ることもさることながら、本機を買うべき人・買うべきでない人というのも解説していきます。
カラバリはPorcelain(ポースリン)とHazel(ヘーゼル)の2色。それぞれ分かりやすくいうと、クリームがかった白とクリームがかった緑です。
ストレージは128GBと256GBがあり、それぞれ税込79,800円と92,800円。
今回は、ヘーゼルの128GBを購入しました。
Googleストアや家電量販店のほか、↓のアマゾン等でも販売されています。
それでは、見ていきましょう!
外観とスペック
まず同梱物は、タブレット本体とマニュアル類のほか、スピーカー搭載の充電ホルダーと電源アダプターです。この充電スピーカーホルダーがついていることは、本機の大きな特徴の一つです。
本体はUSB-Cでも充電できますが、USB-Cケーブルやチャージャーは付属しません。
付属するのは↓の30wチャージャーで、プラグはスピーカーホルダー専用になっています。
背面はナノセラミックコーティング。Googleロゴとシングルカメラ、充電スピーカーホルダーに接続するマグネット端子がついています。
プラスチックとも金属とも違う、まさにセラミックな質感です。手で叩くとコンコンと鳴り、落ち着いていて安っぽさもありません。
ディスプレイは11インチ(正確には10.95インチ)で、Androidタブレットの中では大きめ。
というわけでまずはスペックを見ておきます。
SoCはPixel 7や7 Proと同じTensor G2。10.95インチ(2560×1600)ディスプレイで、8GB LPDDR5 RAMと128GB/256GB UFS3.1ストレージ。ディスプレイはUSI2.0タッチペン対応。アスペクト比は16:10です。
バッテリーは27Whで、公称最大12時間の動画ストリーミング。
カメラはリア8MPフロント8MP。認証は電源ボタンが指紋認証を兼ねています。
センサ類は光・加速度・ジャイロ・磁力・ホール。ポートはUSB3.2 Gen1 Type-Cで、イヤホンジャックは非搭載。
クアッドスピーカーと3つのマイクを搭載し、通信は2×2 MIMO対応Wi-Fi6とBluetooth 5.2、超広帯域無線チップ。
OSは当然Android 13で、5年間のアップデートが保証されています。
本体サイズは258x169x8.1mmです。
上部には指紋認証兼用電源ボタンと音量ボタン、マイク。↓
底面には2つのゴム脚。充電スピーカ-ホルダーに装着しても底面は付きません。↓
右側面にはマイクと2スピーカー穴。
左側面には2スピーカーとUSB-Cポートです。
続いて充電スピーカーホルダーです。本体とカラーは合わせています。
こちらはポゴピンで本体と磁気装着し、自動で充電されます。
充電は最大15w出力。ほか、このホルダーには43.5mmフルレンジスピーカーが内蔵されています。音は前面に向かって出ます。それがタブレットに当たることで、広い範囲に迫力ある音が広がるように聞こえます。
本体をくっつけると、再生中であっても自動でホルダーのスピーカーからの音声出力に切り替わります。
背面には↓のGoogleロゴと給電ポート。
底面にはGoogleロゴで、滑りにくいゴム面になっています。
重量は本体が実測で528g。11インチとしては標準的な重さではありますが、400g台前半が多い10インチ機と比べるとズシリとした重さを感じます。公称重量が493gなので、差分はガラスフィルムかもしれません。
ホルダーは400g。こちらは持ち運ぶものでないので、ズシリとしていて良い感じ。
iPad第10世代との大きさ比較
さて本機は、価格もスペックも、明らかに第10世代iPadを意識しています。
↓でレビューした「Kindle Fire Max 11」は第9世代iPadの対抗馬でしたが、Pixel Tabletは最新第10世代iPadでしょう。
というわけで、ここでは第10世代iPadと本機を並べて比べてみましょう。
まず価格はiPadが64GBで68,800円、256GBで92,800円に対し、本機が128GBで79,800円、256GBで92,800円と、全く同ラダーです。
第10世代iPadはA14 Bionicに対して本機はTensor G2。RAMは4GBと8GBで本機の方が大きいですが、ディスプレイは本機が10.95インチ(2560×1600)に対してiPadは10.9インチ(2360×1640)。
並べて見ると、↓のように左のPixel Tabletがアスペクト比16:10に対してiPadは16:11ちょいなので、本機の方が縦長です。ただ、ベゼルはほぼ同じ。
背面は↓の通り。(ボケていてすみません)
厚みも、本機がコンマ数mm厚いですがほぼ同じです。
iPadの重量は実測で472gなので、重さはiPadの方が軽いです。
より正方形に近いiPadの方が、マンガや雑誌を読むには大きく表示してくれます。
一方で、横向きにアプリを2つ並べるような場合は、横長の本機の方が表示が見やすくなります。
実際の使い勝手
続いて実際の使い勝手を見ていきます。
↓が初期画面。アプリはGoogle謹製のものが必要最低限です。謎デザイン時計とGoogle TVのウィジェットは邪魔なので即消します。
通常のホームだけでなく、「ハブモード」というものがあります。
設定でいつでも切り替えられるのですが、要は本機をスマートディスプレイとして使えるモードです。
ホルダーに装着すると、自動でこのモードに切り替えられます。
本機はGoogle謹製なだけあって、AndroidタブレットがiPadに圧倒的に劣っていた「アプリの間延び」を頑張って改善しています。これは素晴らしいです。
間延びというのは、Androidタブレットのホーム画面やアプリ画面などで、スマホ向けのデザインがそのまま引き延ばされたような、間延びした使いづらい見た目になってしまうことです。
たとえばChromeも、設定不要で↓のようにPCライクに使うことができますし、
設定画面も、↓のように縦向きに表示しても、
↓のように横向きに表示しても、文字の大きさや余白含めて違和感がありません。
アプリドロワーも、↓のようにタブレット向けにデザインが工夫されています。
↓は電卓アプリ。これは本機だけではありませんが、Google製アプリはタブレット表示でも違和感ないデザインになります。
本機はSIM非対応ですが、メッセージアプリでは↓のように簡単にスマホとペアリングしてメッセージを送受信可能に。
これまでデイリーガジェットでは数え切れないほどのAndroidタブレットをレビューしてきましたが、本機はこれまでで最も「表示がおかしくない」Androidタブレットです。
(iPadOSとして別OSを展開してタブレットのUIを最適化しているiPadには及びませんが)
続いて電子書籍を見ていきましょう。
まず活字本ですが、縦向きでも
↓のように横向きにしても、特に違和感なく読めます。ただ、活字本を読むには、重さがちょっと気になります。ずっと手に持って読むのはきついでしょう。
マンガは横向きにすると↓のように左右の余白が大きくなります。
縦向きにすると、画面を広く使えるので便利。雑誌も同様です。
表示品質や音質のレベルは高いので、コンテンツ消費には非常に良いタブレットです。
Tensor G2なので処理は高速なのですが、ストレージ読み書き速度も非常に速いです。計測値は↓の通りで、特にシーケンシャルリードがすごいです。
買うべき人と買うべきでない人
では最後に、本機を買うべき人と、買うべきでない人はどんな人か?それぞれ見ていきます。
買うべき人
まず本機を買うべき人から。
それは、↓のような人たちです。
- タブレットを、動画やマンガ、雑誌などのコンテンツ視聴やゲームに使いたい
- タブレットを、スマートホーム、スマートディスプレイとして使いたい
- タブレットを、室内BGM用のスマートスピーカーとして使いたい
こういったコンテンツ消費やゲーム、スマートスピーカーやスマートディスプレイなどとしてタブレットを使いたい方には、本機は恐ろしいほどピッタリです。
SIM非対応なので主に自宅で、どこにいても「OK, Google」と話しかけて家電を操作したり、好きな音楽を流したり、映画やYouTubeを見たり、ゲームをしたり、雑誌を見たり。
充電スピーカーホルダーに載せるだけで、タブレット単体とは段違いに良い音になります。
Tensor G2で高性能なのであらゆるゲームを快適にプレイできます。
UIも洗練されていて、タブレット利用もスマートディスプレイやスマートスピーカー利用もそれぞれがシームレスに行き来できます。
こんなタブレットの使い方を想定している方は、即購入!
買うべきでない人
続いて、買うべきでない人はどんな人でしょうか。
それは↓のような人たちです。
- iPhoneユーザー
- アウトプットのためにもタブレットを使う人
- タブレットは安さが一番
まずiPhoneユーザーは、素直にiPadにしておきましょう。だいたいの面でAndroidタブレットよりも優れていますし、AppleのUIに慣れていたらなおさらです。
唯一、「とにかく安いタブレットが欲しい」ということならiPhoneユーザーであってもFireをはじめAndroid(とその派生)タブレットを買う理由もありますが、その場合も本機は対象外です。(安いタブレットではないので)
また、「買うべき人」のところでも書いたとおり、本機はコンテンツ消費には最適です。が、いわゆるプロダクティビティ用途やクリエイティブ用途と呼ばれるようなニーズには向きません。
具体的には、ペンを使ってお絵描きしたいとか、キーボードとタッチパッドでノートパソコンのようにドキュメントを作成したいとか。
そういった用途であれば、タブレットであればやはりiPadが最良の選択肢です。
↓のように第10世代iPadにSmart Keyboard Folio、Apple Pencilを付ければ、仕事だってできちゃいます。
また、先日発売になったサムスンの「Galaxy Tab S6 Lite」も、ペン付きで5万円台なので、お絵描きしたいということなら本機よりは良いでしょう。
また、ペンやキーボードをAndroidタブレットで使いたいということなら、「Galaxy Tab S8 Ultra」が最強です。↓でお伝えしたように今は安くなっていますし。
↓でお伝えしたように、本機の専用純正ペンとキーボードが出るという確度高めなリークもあります。
それらの周辺機器が出てくれば少し話は変わってくるかもしれません。
が、今のところは(USI2.0対応ですが)お仕事やお絵描きに本機が向いているということはないでしょう。
現状で最高のAndroidタブレットの一つであることは間違いない
以上、長々と見てきました「Pixel Tablet」。
外観のオシャレさや充電スピーカーホルダーの出来、タブレット向けUIの完成度、そもそもの処理性能など、本機は現状で最高のAndroidタブレットの一つであることは間違いありません。
特にコンテンツ消費やスマートディスプレイ的なタブレット利用を想定している方には、ピッタリはまるでしょう。
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