使ってみて分かった、MacBook 12インチのレビューが絶賛・失望両極端に振れる理由

筆者の現在のメインマシンは、スマホを除けばMacBook 12インチ(2017)です。

Xperia、iPhone、Gemini PDA、iPad mini、iPad Pro、Chromebook、VAIO S13、Xperia Tablet、MacBook Pro、ThinkPad X230、ポメラDM200と、あらゆる端末を使っていますが、最終的にMacBook 12インチの使用頻度が一番高いです。

最初は、本機は外出や出張、旅行の時に、いつもと同じ作業ができるようにと買いましたが、今や自宅でもほぼメインマシンとして使っています。

外部ディスプレイに接続もしていません。

さて、このMacBook 12インチ(2017)ですが、ちまたのレビューを見ると、絶賛と失望の両極端に振れています。

  • あまりに最高だ、これしかない

というレビューか

  • MacBook AirかProを買うべき。半端な12インチは存在意義がなくすぐ消えるモデル

というレビューの2種類です、ざっくり言えば。

どうしてこんなことになっているのでしょうか?

当たり前ですが、それは「使い方」がどうかに依存します。

筆者は毎日使っていて、大満足です。

では、実際に使っている中で、本機はどうなのか。

どういう使い方であれば「最高」だと思い、どういう使い方であれば「失望」になってしまうのか、まとめたいと思います。

筆者が使っているモデル

まず筆者が使っているモデルですが、MacBook 12インチ(2017年モデル)の最低スペックです。

  • Core m3
  • RAM 8GB
  • ストレージ128GB
  • スペースグレー

このスペックで十分です。

MacBookは最低スペックを奨励しているレビューも多く、筆者も同じです。

そこに、このモバイル端末のレビューが両極に振れる理由が隠れています。

まずは絶賛レビューから

このマシンに大満足だというレビューには、大体下記のようなことが書かれています。

  • 美しい
  • 軽い(920g)
  • 12インチ画面は十分な広さで集中できる
  • パフォーマンスは最低スペックでも十分
  • バッテリーがもつ(10h)

これらは、筆者の感じていることとほとんど一緒です。

まず見た目が美しいという点。

MacBook失望派もこの点は認めている人が多く、ProやAir、タブレットと比較し、特にスペースグレーのデザイン的な完成度はとても高いです。

ベゼルは狭い方で、本体を開けると目一杯に画面とキーボードとタッチパッドが広がっているイメージです。

一方で、閉じると驚くほどコンパクトに、どのMacBookモデルよりも薄く、軽くなります。

不評なTouch Barなどもなく、代わりにキー上部はスピーカーになっています。

左右いっぱいまで広がったキーボードは賛否ありますが、Apple公式ページにもある通り、モビリティの高い端末であっても、キーの打ちやすさに一切妥協しないという姿勢の表れとして好感が持てますし、見た目もそんなに嫌いではありません。

軽さについても、MacBook最軽量で1kgを切っており、一般的な11〜13インチクラスの中でも軽い方です。

もちろんNECや富士通、パナソニック、VAIOなどで軽量を売りにしている高価なモデルには遠く及びませんが、920gは持ち運びに難儀することはありません。

鞄に入れても、気になる重さではありません。

Smart KeyboardをつけたiPad Proとそこまで変わらない取り回しの感覚です。

12インチの画面については、買う前は「狭いかな?」と若干不安に思いましたが、使ってみて、全く不満はありません。

13インチクラスと比較して、ほとんど差は感じません。

本体が小さいため、画面サイドそのものの面積が小さいのですが、ベゼルが狭いために画面が縁の方まで広がっているイメージで、さらに縦方向も長いので、窮屈さを感じたことはありません。

Apple製品は、縦横比が手だれているといつも感じます。

下記で書いたiPad mini4もそうですが、同じインチクラスのHuawei MediaPad M5よりも、正方形に近くなっています。

今年2019年は、iPad miniの後継機がついに出るのではないかと言われています。 これまでiPad miniは、じつに2015年...

一見、縦長のHuawei MediaPad M5の方が現代的な見た目なのですが、実際に使ってみると、8インチクラスでは縦長のメリットはほとんどなく、デメリットが多いことが分かります。

電子書籍も動画視聴も、縦長ですと見づらくなりますが、正方形に近いiPad mini4は縦横どちらに持っても見やすく快適です。

MacBookも同じで、対角線の長さで定義する画面サイズは12インチですが、縦方向に十分な長さをとっているため、あらゆる作業がやりやすいのです。

これが、キーボードが左右目一杯にある理由でもあります。

また、このおかげで、タッチパッドも広くなっています。

画面の縦横比は、生産性を規定するとても重要な要素だと改めて実感するとともに、MacBookのそれは見事なまでに計算し尽くされていると感じます。

バッテリーについても、初期設定が終わったばかりではインデックス化などで減りが早いですが、数日するとかなり減りがゆっくりになります。

使い方にもよりますが、会社の行き帰りに数時間ずつ作業するくらいであれば、2日は充電不要なくらいに持ちます。

以上のように、筆者の使い方(メール、ブラウジング、執筆、プログラミング、動画視聴、チャット、Microsoft Office、およびそれらの複数組み合わせ)であれば、何ら不自由ありません。

ですが、下記のように、失望のレビューも多いのです。

その理由を見ていきたいと思います。

失望レビューはどのようなものか

MacBook 12インチの失望系レビューで書かれていることは、概ね下記のようなことです。

  • USB Type-Cポート一つだけ
    • ハブつけるとかさばるしダサい
  • イヤホンジャックいらないからUSB Type-C増やしてほしい
  • MagSafeがない
  • 12インチ画面は狭い
  • キータイプ音がうるさい
  • 発熱
    • 特に外部ディスプレイ出力時
  • サブとして使うには高すぎる

まず最初のポイント、確かに、MacBook 12インチには、充電兼用のUSB Type-Cが1つと、3.5mmイヤフォンジャック1つだけがついています。

拡張はそれだけです。

そのため、日頃から外付けのSSDやHDD、ディスプレイ、SDカードなどを頻繁に複数使っている人は不便だと思います。

また、ハブを付けると不格好というのも分かります。

そのため、そういう用途であれば、MacBook Proを使うのがいいと思います。

ただ、筆者のようにほとんど物理デバイスを外付けせず、もっぱらクラウドベースで動いている人にとっては、本体がコンパクトな方が使い勝手がいいです。

MagSafeについては、確かに引っ張って本体を落とすリスクというのはありますが、独自企画のMagSafeよりも、汎用のType-Cの方が筆者はうれしいですね。

モバイルバッテリー一つあればスマホと兼用できますし、専用アダプターを持っている必要もありません。

このあたり(拡張性、MagSafeからType-Cへ)は、MacBook Proにすれば解決するという問題よりも、Apple製品はじめあらゆるノートパソコンがそっちの方向に流れています。

次に12インチという画面サイズについて。

これは、上にも書いたとおり、筆者には十分な大きさです。

ブラウザとメールとExcelを同時に開いて作業する、といったような場合も、特に窮屈さは感じません。

27インチなどの大画面での作業を外でやろうとすると窮屈さを感じるのは当然ですが、そもそもそういうサイズで作業しなくても大丈夫という筆者のような使い方であれば、12インチは快適です。

13インチとの比較で言えば、筆者は13インチのProも使っていますが、違いはほとんど感じません。

発熱についても、外部ディスプレイに接続しないため、特に感じません。

つまり、これらの不満を持ってしまうのは、デスクトップ機の作業をなるべくそのまま外でもやろうとしていることから来ていることが分かります。

逆に、ノートパソコンだけで多くの作業をしている人にとっては、あまり問題になることはありません。

Gemini PDAやGPD Pocketを少しでも使った後ですと、むしろ12インチ画面は広大です笑

むしろ、MacBook AirやMacBook Proの13インチは、1キロ以上あるずしりとした重量の方が気になってしまいます。

キーボードについて

さて、キーボードについては、こだわりが強いデイリーガジェットとしては1セクション分けて書かざるを得ません。

12インチに限らず、MacBookのキーボードがバタフライ形式になってからの、「ペタペタ」した打ち心地に賛否があることは十分理解できます。

筆者も、本当はモバイルギアやThinkPadのようなキーボードが理想なので、このペタペタタイプは好きではありません。

本体の薄さを追求し、かつキートップのどの部分を打ってもほぼ等しい力で押し込めるようにした努力はよく分かります。

一部リークが出ているとおり、アップルは近い将来、キーボード表面を電子ペーパーか有機ELの一枚パネルにした、iPad ProのSmartKeyboardのような形状に変えようとしているようです。

これにすれば、JIS/USなどのキー配列の物理的制約がなくなりますし、バタフライ形式で問題になったホコリが入って反応しなくなる問題もクリアできます。

その布石のように、近年のMacBookのキーボードはどんどんペタペタになっていきました。

これに対して、筆者もいろいろと悩んだのですが、下記のやり方でクリアできました。

  • ストロークが深いと思い込んでバシバシ叩く

どういうことかと言いますと、浅いストロークを前提に、しかも高い本体になるべくダメージを与えないように気を遣いながら叩くと、多くの人が書いている通り、MacBookのキーボードというのは疲れるのです。

薄い板を叩いているような感じです。

ですが、本体を壊しちゃいそうとか考えず、またストロークが浅いことを忘れ、Dellのキーボードに対するようにバシバシ打ち込むと、あら不思議、板を叩いているような疲れを感じなくなります。

また、打鍵感もきちんとあります。

おそらく浅いストロークを前提に力を入れると、意外に強い力で押さなくてはならず、そうすると力の入れ具合と脳で認識しているキーの押し込み具合にギャップが出て疲れてしまうのです。

そのため、ストロークが浅いことを綺麗さっぱり忘れましょう。

そして遠慮なくバシバシ叩けば、このペタペタキーボードも悪くないと感じてきます。

まあThinkPadのキーボードの打ちやすさには、足下にも及ばないレベルではありますが……

おわりに

いかがでしたか?

MacBook 12インチに対する不満、とくにAirやProと比較した時の不満というのは、おおむね「デスクトップの使い方をモバイルでも可能な限りそのままできるように」というニーズを持った人に起こりやすいものだと分かります。

逆に、筆者を含め、ノートパソコンとクラウドをベースにした使い方になっている人にとっては、MacBook 12インチはとても使い勝手のいい名機です。

そういう使い方をすれば、MacBook 12インチは満足度の高い一台だと思います。

おわり

コメント

  1. GACHA より:

    MacBookの考察、興味深かったです。
    私はあの格好良さに一目惚れして買った口ですが、外に持ち出すわけではないし、家にはiMacがあるので結局あまり使わずに売ってしまいました。
    今現在家にあってまともに稼働するノート型のMacは、PowerBook2400cだけですね(笑)
    他は壊れたり売ってしまったりでほとんど残っておりません。
    これはただ改造しまくって思い入れが激しいので、手放せないだけですが・・・
    これでもメールチェックしたり、ニュースをみたり、天気予報をみたりと普通の人が朝やることは結構出来るのですよ(笑)
    今でも時々立ち上げて、上記の作業をやってみたりしています。
    そういえばDailyGadgetさんのブログは相当古いノートPCの話題も豊富ですよね。
    読むと懐かしさに浸れて嬉しいです。
    最近は古いPCについて新しく情報発信してくれるサイトも少ないので、これからもそっち系の話題を記事にして頂けると嬉しいです。
    それでは、また。

  2. horitei より:

    とてもわかりやすい整理で、共感するところが多かったです。
    MacBook 12インチは、たしかに癖のあるマシンで、ユーザを選ぶところがあります。それだけにこのマシンに強い思い入れを持っているユーザも多いのではないかと思います。
    私自身は初代MacBook Airを7年間使い、同じく12インチの初代を購入しました。この記事で紹介されているような不満(ノートパソコンにオールインワンを求めること)は理解しますが、シンプルさと軽量・モビリティを第一に考える12インチの設計思想を支持したいと思います。敢えて言えばスティーブ・ジョブズのDNAを感じます。
    先日、整備済み再生品としてAppleストアに出ていたMacBook 12インチを購入しました。初代と外見は変わりませんが、キーボードは改良が施されており、打ちやすくなっていると感じます。後数年、このマシンが現役でいる間に、12インチの後継が復活するといいなあ!