みなさん、「カイロソフト」という会社をご存じでしょうか?
スマホやPC、ゲーム機向けのゲームソフトを開発・販売するソフトハウスです。
最新作は、下記のiOS向けゲームセンター経営シミュレーション「ゲームセンター倶楽部DX」です。
見て分かる通り、ドット絵の可愛いキャラクターが印象的です。
このカイロソフト、様々なゲームをリリースしていますが、ほぼすべてがこのようなドット絵のシミュレーションです。
ゲームバランスが良く、温泉宿経営、ゲーム会社経営など、新作が出る度に「今度はそう来たか! うん、確かに経営してみたい」と、嬉しい驚きをくれます。
実はこのカイロソフトですが、もともとは当時14歳だった社長の臼井和之さんが、今は亡き「TECH Win」という神がかったPC雑誌の読者投稿ゲームコーナーに投稿していたゲームが元になっています。
実はその頃、筆者もリアルタイムで「TECH Win」を愛読しており、付録のCD-ROMに入った「THE 古本屋 弐」や「ゲーム発展途上国」を夢中になってプレイしていました。
TECH Winという雑誌
TECH Winという雑誌は、1994年から2006年まで刊行されていました。
Windows向けゲームが中心なのですが、読者が投稿したゲームも掲載しており、毎号コンテストが開かれ、賞金がありました。
そのため、筆者を含めゲームプログラミングをしていた学生にとっては、結構身近な雑誌でした。
下記で書いた「ベーマガ」こと「マイコンBASICマガジン」と並んで、毎月楽しみな雑誌で、発売日には家電量販店で必ず購入していました。
ベーマガの方はプログラム掲載されるため、それほど大ボリュームのゲームは少ないのですが、TECH Winの方は付録のCD-ROMにコンパイルされた形で収録されるため、かなり力の入った良ゲーがたくさんありました。
90年代の中頃、そんなTECH Winの付録投稿ゲームを遊びながら、
「同じ中高生たちがこんな面白いゲームを作っていてすごい」
あるいは
「僕ならもっと面白いのが作れる」
などと(勝手な)想像をしながら、楽しんでいました。
また、確かTECH Winが自ら企画したクォータービューの3D RPGが章ごとに掲載されるなど、実験的でワクワクするような試みもされていました。(タイトルは忘れてしまいました……)
そして数多あった投稿ゲームの中で、筆者としては群を抜いて面白く、今でもよく覚えているのが、カイロソフト社長の「カイロくん」こと臼井和之さんの投稿ゲームだったのです。
カイロくんのゲームたち
今でもプレイ画面や効果音が脳裏に焼き付いているのが、「THE 古本屋 弐」と「ゲーム発展途上国」です。
まず「THE 古本屋 弐」は、下記のようなドット絵クォータービューの古本屋経営シミュレーションです。
まずMDI(Multiple document Interface)のゲーム画面が最高でした。
当時は、Microsoft Officeも、この親ウィンドウの中にたくさんの子ウィンドウがあるというインターフェースを推しており、それを採用したソフトウェアには、なんだか先進的なイメージがあったのです。
ゲームバランスもすごく、最初はほとんど客が来ないのに、頑張って本棚を置いたり仕入れをしていると、一人、二人と、お客さんが入ってくるのです。
そして、「チャリン」という音と共に、古本が売れていきます。
ずっとやっていると、「チャリン」の数がすごくなってきて、「ああ、僕の古本屋がここまで大きくなったなんて、感無量だ」となります。
このドット絵の、一見地味な画面も、ずっとプレイしていると、とても愛着ある「自分のお店」になっていくのです。
次に印象的だったのが、下記の「ゲーム発展途上国」です。
ゲーム会社の経営シミュレーションです。
これも、最初は一人でゲームプログラムを書いていくところから、徐々にゲームをヒットさせながら、会社を大きくしていくゲームです。
古本屋とかゲーム会社を経営したいという夢は、当時プログラミング少年だった筆者も全く同じように思っていたことなので、その夢をプログラミングで叶えたこのカイロくんに、強い尊敬の念を抱いていました。
画面はありませんが、「マンガ奥の細道」というゲームも確かあって、マンガ家のシミュレーションだったのですが、これも最高に面白かったです。
あれから20年の時を経て
当時、同じようにプログラミングに夢中になっていた中高生だったはずのカイロくんと筆者ですが、ゲームとは全く関係ない分野に進んだ筆者とは対照的に、カイロくんはそれからも「ドット絵シミュレーションゲーム」で快進撃を続けてきました。
最近では、iOSやAndroidに加え、なんとNINTENDO Switchにも進出しています。
2018年の東京ゲームショウに行ったのですが、なんとカイロソフトが出展しているではありませんか!
筆者は感動を抑えられずに、何度もカイロソフトブースに足を運びました。
最新作の展示だけでなく、下記のように、カイロソフトのゲームのソースコードを公開する、なんていう、プログラマ出身の社長ならではの催しもあって、思わず嬉しくなってしまいました。
カイロソフトの歴史の展示もあったのですが、なんと!
1996年当時、筆者が買って夢中になっていたTECH Winが展示されていました!
まさに「ゲーム発展途上国」と「THE 古本屋 弐」が掲載された号が展示されており、感激もひとしおです。
グッズは、下記が配られていたので、受け取りました。
一生の宝物です。
おわりに
今回の記事を執筆しながら、カイロくんこと臼井和之さんは、まさに作品である「ゲーム発展途上国」のような20年を走って来られたのだなと思いました。
デビュー当時からこっそり応援してきた筆者にとっても、「ゲーム発展途上国」で自分のゲーム会社が発展していく喜びを感じたのと同じように、カイロソフトの発展を嬉しく思います。
これからも、素敵なドット絵シミュレーションゲームで、みんなを夢中にしてほしいと願っています。
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