毎年数え切れないほどの新機種が登場するスマートフォンの世界ですが、その流れとは真逆のコンセプトのスマートフォンがあるのをご存じでしょうか?
その名も「Fairphone」
最新機種の「Fairphone 3」が登場したので、まずはどんなスマホなのかを見ていきます。
自分で直せて長く使えるスマホ
「Fairphone 3」は、一見するとどこにでもあるオーソドックスなデザインのスマホです。↓
スペックも、↓のように一般的なミドルレンジスマホのものです。
- ディスプレイ:5.7インチ FHD 18:9(ゴリラガラス5)
- チップセット:Qualcomm Snapdragon 632
- RAM:4GB
- ストレージ:64GB
- 拡張性:microSD
- リアカメラ:12MP
- フロントカメラ:8MP
- OS:Android 9
- SIM:デュアルnano-SIM
- バッテリー容量:3,000 mAh(リムーバブル)
価格は450ユーロ(約52,000円)と、これまた安くも高くもありません。
ただ、↓を見てもらえば分かるように、このスマホは簡単に分解できるようになっています。
↓のように、そもそもパッケージにドライバーが同梱されていることからも、「分解前提」の作りであることが分かります。
これはもちろん狙ってのことです。
一般的なスマートフォンとは異なり、この「Fairphone 3」では、「壊れたら自分で直す」スマホなのです。
もちろんほとんどの人は回路をいじったりするのは不可能ですが、「Fairphone 3」は↓のようにそもそもモジュールが6個程度しかありません。
そしてこれらはサイトで販売されているので、たとえば「バッテリーがへたってきた」と思えばバッテリーを購入し、「画面が割れた」となれば画面を購入すれば、自分で簡単に修理できるのです。
「画面が割れたから」や「バッテリーがへたってきたから」など、スマホ買い換えの主要な要因に対して、「じゃあそのパーツ換えればいいよね」という選択肢が生まれるということになります。
また、「動作が遅くなってきた」に対しても、将来的にチップセットのアップグレード交換が実現できれば、本当に丸ごと買い換えが不要なスマホになるかもしれません。
材料もフェアトレードで地球に優しい
材料についても、フェアトレードの金やスズを使い、紛争地帯のタングステンは使わず、プラスチックはリサイクルのものを使うなど、地球にも優しいスマホです。
そもそも営利企業でなく、社会事業として営まれているため、利益が唯一の目的では無いことから、このような作りが可能になっています。
そう考えると、この「Fairphone 3」からは、端末デザインやスペックだけではない「かっこよさ」を感じてしまいます。↓
今後の一つの流れになるかも
日本やアメリカ、ヨーロッパなどの先進諸国ではスマートフォンの買い換えサイクルが長期化していることが、内閣府の消費動向調査を始め多くの調査からも明らかになっています。
アメリカでは買い換えサイクルが3年を越えたという調査もあります。
中国などでは依然として買い替え需要が高いのですが、日米欧では長く使えるというのが一つの訴求点になっています。
かつてのスマホはバッテリー交換できるのが当たり前でしたが、iPhoneが裏蓋を閉じてバッテリー交換不可で登場してからは、ほとんどのスマホは裏蓋を開けることができなくなってしまいました。
「新機種を買ったけど、半年後にはもう旧機種になる」という凄まじい消費スピードのスマホの世界でも、買い換えサイクルの長期化や環境・フェアトレード意識の高まりと相まって、「Fairphone」のようなプロダクトが増えていくかもしれません。
以前ご紹介したカーボンファイバー製のストローも「脱・使い捨てガジェット」というコンセプトは似ています。↓
楽しみな流れですね!
おわり
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