昨今、深圳の新興メーカーから、8インチサイズのUMPC(小型PC)が続々と登場し、人気を博しています。
7〜8インチは、フルキーボードが使えるギリギリの小ささで、コンピューティングに軽量コンパクトさを求めるユーザーから支持を集めています。
現在、予約もしくはクラウドファンディングが開始している代表的なモデルが、下記のOneMix3、GPD P2 Max、Chuwi MiniBookです。
OneMix3
GPD P2 Max
Chuwi MiniBook
レッツノートRZを忘れてもらっては困る
さて、UMPCというジャンルは、かつて日本メーカーから精力的に製品が出されていました。
ソニーのVAIO Type-P、東芝のLibretto20をはじめ、世界中でヒットしたモデルが数多くありました。
その後、各社はこのサイズの製品は作らなくなりましたが、唯一パナソニックだけは、RZシリーズという10.1インチの小型ノートパソコンをリリースしています。
パナソニックはパソコン冬の時代を生き延び、ビジネス用途に最適化した軽量で耐久性の高い、バッテリーが長持ちするハイスペックノートパソコン「レッツノート」シリーズで、高い支持を受け続けています。
深圳系メーカーのUMPCは当初7インチクラスからスタートしましたが、世代を経て現在は8インチクラスがメインになっています。
10インチのRZはそれよりも多少大きいですが、どこでも気軽に持ち運べるという意味では競合です。
というわけで、それぞれの長所・短所を比較してみたいと思います。
まずはサイズから
一番分かりやすいサイズから見ていきましょう。
各モデルの天板サイズを比較すると、↓のようになります。参考までに、MacBook Air(2019)も入れました。
Chuwi MiniBookがもっとも小さく、それと僅差でOneMix3があります。
そしてタッチパッドを搭載したGPD P2 Max、Let’s note RZ8と数cmずつ大きくなっていきます。
GPD P2 MaxがiPad miniとほぼ同じサイズなので、いずれもノートPCの中ではもっとも小型の部類に入ります。
レッツノートRZ8は、MacBook Airと8インチクラスUMPCのちょうど間くらいのサイズです。
一方で、レッツノートRZ8は、他の8インチUMPCと比較して幅があることから、キーボードは変則的な配列もなく、タッチタイピングも問題ないレベルです。
逆に8インチUMPCは、どれもキー配列は変則的なため、打つのに慣れが必要になります。
スペックの比較
次にスペックです。
各モデルを比較したものが下記になります。
それぞれに、上位モデルや下位モデルがあるのですが、各モデルもっとも売れ筋のメインラインを選択しました。
まずCPUですが、これはレッツノートが第8世代Core i5ということで頭一つ抜けています。(ただしOneMix3Sプラチナエディションという最上位モデルは、i7を搭載します)
ストレージに関しては、OneMix3とGPD P2 MaxがPCIeなので、eMMCのChuwi MiniBookやsATAのレッツノートよりも高速です。
解像度についても、OneMix3とGPD P2 Maxが2560×1600と、他2機種よりも高解像度になっています。
また、この中ではGPD P2 Maxだけが360度回転に対応していません。
拡張性に関しては、レッツノートがビジネスに特化しているだけあって、フルサイズのHDMI、VGA、LANポート、SDカードスロットを搭載していますが、他のUMPCが搭載するUSB Type-Cは搭載しません。
バッテリー容量に関して、これは車で言えばガソリンタンクの大きさを表しており、バッテリーが何時間持つかの直接的な指標にはなりません。
なぜなら、燃費に対応する部分が加味されていないからです。
レッツノートはこの「燃費」が非常に優れたパソコンであり、バッテリーの持ちは一番長いと考えて間違いないでしょう。
重量は、レッツノートが他より100gほど重くなっています。
また、レッツノートはバッテリー交換に対応していたり、オフィスを搭載しているなど、ビジネス用途に便利な特徴があります。
OneMix3やGPD P2 Maxは、スタイラスペンに対応しています。
どちらを買うべきかは用途によって明白
さて、以上を見れば、レッツノートを買うべきか、8インチUMPCを買うべきかは、かなり明確に分かります。
ビジネス用途で、プレゼンや資料作成を外出先でもガッツリ行いたいなら、レッツノートです。
客先でVGAしかないとか、HDMI変換ケーブルを忘れた、という事態でも、レッツノートであれば問題ありません。
また、頑丈さがウリの一つですので、ビジネスバッグに入れて世界中を飛び回っても心配が少ないでしょう。
キーボードも変則的な配列ではないため、ある程度長い文章を入力するにもストレスは(比較対象のモデルよりは)少ないと思います。
一方、持ち運びの容易さをとるなら、8インチUMPCです。
特にOneMix3やGPD P2 Maxであれば、ストレージやRAMまわりの基本性能が高く解像度も高いため、そこまで重くないゲームをしたり、コンテンツ視聴にも適しています。
キーボードも、慣れればタッチタイピングも可能なため、ちょっとした資料作成も問題ありません。
また、重要な要素として価格があります。
レッツノートRZ8は、MSオフィス搭載というのもありますが、優に20万前後します。
OneMix3SもCore i7搭載のプラチナエディションは15万円前後しますが、それ以外のCore m3モデルであれば、10万円前後で購入できます。
Chuwi MiniBookは更に安く買えますし、CPUをCeleronにすれば5万円前後になります。
そのため、価格の安さをとるならレッツノートは対象外になるでしょう。
いずれにせよ、どのモデルにも長所と短所がありますので、ご自身の使い方や「美学」に従って、皆さんがぴったりのモデルと出会えることを祈っています!
おわり