ATOM搭載PCはなぜいつも残念なのか

Intel Atom®プロセッサ。

筆者は、このCPUには、愛憎相半ばする、とても複雑な思いがあります。

Atom®は、ご存じインテル社のCPUで、主に小型PCや一部タブレットに採用されています。

Intel Atom(インテル アトム、以下 “Atom”)は、インテル設計製造する、主に携帯情報端末 (PDA) や低価格PC組込みシステム向けのマイクロアーキテクチャ及びマイクロプロセッサ群である。

Wikipediaより

Core iシリーズのようなパワーはなく、逆に小型・低消費電力により、数々の小型PCに採用されてきました。

Cherry Trailという開発コード名のものが最新で、これ以降の開発は行われないことが発表されています。

ミニPCをこよなく愛する筆者は、このCPUに「振り回されて」きたといっても過言ではありません。

ATOMは、いつも夢を見させてくれた

どんな夢か。それは、A4よりもB5よりも小さい、ミニPCで、色々な作業を場所の制約なくできることです。

かつてのVAIO Type-Pや、最近ではGPD WinなどのミニPCは、もちろん画面やキーボードの小ささも相まって、13インチクラスあるいは15インチクラスのノートパソコンのような使い方はできません。

【シリーズ往年のミニPC名機】VAIO Type-P(VGN-P90HS)【そして伝説へ…】

ただ、小さな鞄に入り、どこへでも持って行けるサイズで、フルのWindowsが動く。その事実が、モバイラー魂を揺さぶりました。

ミニPC一台をお供に、カフェでも旅先でもどこでもPCが使える——。

当ブログでシリーズ連載している「シリーズ往年のミニPC」に出てきた(そして今後も出てくる)PCたちは、いずれもそんな魅力を持っていました。

そして、そんな魅力を感じさせるミニPCに、いつも搭載されていたCPUが、ATOMでした。

でも、実際に使ってみると……

そういった魅力的なミニPCが発売されるごとに、筆者はモバイルの夢を見て、幾度となく購入してきました。

買ったときは、ワクワクします。

このミニPCで、どんなモバイルライフが花開くんだろう! と思いましたし、小さな筐体はそれ自体何時間でも見続けていられました。

しかし

ATOMが搭載されたそんなミニPCは、実際に使っていくと、ほぼ間違いなくストレスと失望に変わりました。

そう、端的に言えば、「遅い」んです。

これは、単純なようで致命的です。何をやろうにも、待たされます。デスクトップやフルノートではあっという間のWindows updateも、30倍ぐらいの時間がかかってしまう。

そうこうしているうちに結局は、多少重くとも多少大きくとも、しっかりしたCPUとメモリが搭載されたPCを使うのが無難だ、という結論に達してしまいます。

同じような思いをしてきた方は、少なくないと思います。

そして、「もうATOMが搭載されたPCは買わない」と心に誓います。でも、次世代のATOMが搭載されたミニPCが出るたびに、

「今度のATOMは違うかもしれない! いよいよ『使える』ものになっているかもしれない!」

と期待して買って、また失望する、の繰り返しでした。少なくとも筆者は。

ATOMの何がダメなのか?

そんな経験を10年以上続けてきて、ついにATOMの開発が終了した現在。

まだ市場には、ATOM搭載PCが少なからず流通しています。

ATOMの何がダメだったのか、あらためて記しておこうと思います。

それは、「必要十分の罠」とでも言うべきものです。

最新のCherry Trail世代のATOM搭載のPCのレビューなどでよく書かれる表現が、次のようなものです。

「ゲームや動画編集などは難しいが、ウェブブラウジングやOfficeなどの用途には問題なく動く」

これは、Bay Trailなど、過去のATOM世代のPCレビューにも、見飽きるほど散見された表現です。

これを見ると、

「確かに、自分はゲームや動画編集はしない。やることと言えば、ウェブを見て、メールを書いて、たまにWordのファイルを開くぐらいだ。つまり、このPCで必要十分なんだ!」

と考えてしまいます。

ただ、この考えでATOM搭載PCを買うと、ほぼ確実に後悔します。

なぜなら、「ウェブブラウジング」や「メール」、「動画視聴」など、単体ごとのユースケースを切り出せば、その処理はATOMに問題なくできますが、PC利用においてそれぞれを単体で行うということはまれだからです。

メールをしながら動画を観たり、ドキュメントを作成しながら情報収集のためにブラウザを開いたりします。

マルチタスクできることが、タブレットやスマホではなく、PCの最大の強みだからです。

そうなると、途端にATOM PCは動きが遅くなります。メモリを積んでいても同じです。Windows Updateでも入ろうものなら、最悪です。

そして、一つ一つは小さなストレスでも、それが積もり積もって、そのPCを使うこと自体にストレスを感じ始めてしまい、結局は「普通の」PCしか使わなくなってしまいました。次のミニPCが出るまでは…

Core mは、この連鎖を突破してくれるかも

Core mシリーズというCPUがあります。

MacBookにも搭載されていて、だいたい10万円前後の小型ノートパソコンに多いものです。

バッテリも持ち、軽量で、処理速度も高い。

ただし値段も上がります。

ですが、私はAppleがこのCPUをMacBookに採用したことは、一つの「ATOM克服」のメルクマールだと思っています。

Appleはユーザー体験を重視する会社です。小型化もでき、バッテリも持ち、価格もおさえられるATOMを、Appleは一切採用してきませんでした。それは、ATOM搭載PCでは、満足なPC利用体験ができないと考えたからでしょう。

しかし、Core mは採用されました。そして、GPD Win2など、ミニPCにも搭載されています。

今後、ATOMの失敗を繰り返さずに、魅力的なミニPCがCore m搭載でたくさん出てくることを楽しみにしています。

おわり

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