今回は、GPD社の新型8インチUMPC(超小型ノートパソコン)「GPD Pocket 3」をレビューしていきます!
現在、↓でお伝えしたとおりIndiegogoでクラウドファンディングを実施中。
そしてGPD社の国内正規代理店である株式会社天空が、今週にも予約を開始する予定です。
今回は実機をお借りしてのレビューですが、デイリーガジェットも当然購入済。
しばらくいじってみて、本機をまとめると「これまでGPD社をはじめとしたUMPC各社が培ってきたノウハウが結集された一台」といえるでしょう。
特にGPD社モデルでいえば、GPD P2 Max、GPD Win Max、GPD MicroPCの3モデルを融合し、どのユースケースにも対応できるように進化させたような一台です。
それくらい、このサイズ感にしてかなりの使い勝手の完成度になっています。
クラムシェル型ノートパソコンとして、どこへでも持ち出してバリバリ使い倒せる相棒にふさわしい仕上がり。
というわけでさっそく見ていきましょう!
外観&スペック
おなじみGPD化粧箱には、本機のほかチャージャーやケーブル類が同梱されています。
スペックは下記の通り。
- CPU:Core i7-1195G7 / Pentium Silver N6000
- GPU:Iris Xe Graphics 96 / UHD Graphics
- RAM:16GB / 8GB LPDDR4x
- ストレージ:1TB / 512GB PCIe NVMe M.2 2280 SSD
- ディスプレイ:8インチ(1920×1200)10点マルチタッチ
- アスペクト比:16:10
- 輝度:500ニト
- OS:Windows 10 home 64bit
- Wi-Fi:802.11 a/b/g/n/ac/ax
- Bluetooth:5.0
- 給電ポート:Thunderbolt 4 / USB3.2 Gen2 Type-C
- その他ポート:HDMI2.0b、USB3.2 Gen2 Type-A x2、有線LAN、イヤホンジャック
- スタイラス:4,096段階筆圧検知
- バッテリー容量:38.5Wh/7.7V/5,000mAhx2
- バッテリー駆動時間(高負荷):2時間 / 3時間
- バッテリー駆動時間(低負荷):9時間 / 15時間
- サイズ:198 x 137 x 20mm
- 重量:725g
Core i7-1195G7モデルと、Pentium Silver N6000モデルがあります。
いずれも10nmプロセスで、i7が4コア8スレッド、N6000が4コア4スレッド。
今回のレビュー品は1195G7モデルです。処理速度は当然こちらの方が早いですが、バッテリー駆動時間はN6000に軍配。Pentiumとはいえオフィスソフトなどを使う分には十分な処理性能がありますので、自らのユースケースに合わせてどちらのモデルにするかを選べばよいでしょう。
なお、後述するように本機は背面ポートがモジュール式になっていて付け替えられます。
デフォルトでは下記USB-Aなのですが、RS-232やKVMにもできますので、専門職の人はオプションのモジュールが便利でしょう。
- モジュール1(デフォルト):USB3.2 Gen1 Type-A
- モジュール2(オプション):RS-232
- モジュール3(オプション):KVM / HDMI in / USB-C in
8インチのフットプリントはかなり小型で、↓のように片手で持てます。このサイズですよ!
外装は6061アルミ合金です。
左側面には、充電用を兼ねたUSB Type-Cポート。i7モデルの方はThunderbolt4で、Pentiumモデルの方はUSB3.2 Gen2 Type-Cになります。
逆側には、イヤホンジャックとUSB3.2 Gen2 Type-Aが2つ。
背面には有線LANポートと、モジュール部分があります。これはKVM/HDMI-INです。
外部機器からHDMIで本機に画面出力をしたり、本機のキーボードを使って操作することができます。
底面には廃熱穴とゴム足。
重量は実測で740.4g。UMPCとしては重い方です。
「FMV LOOX U」形式の2-in-1機構
さて、本機はGPD社のUMPCとしてはおそらく初となる、2-in-1機構を備えています。
すなわちクラムシェルノートパソコンとしても、Windowsタブレットとしても使えます。
2-in-1機構はいくつかのパターンがあり、一番多いのは画面が360度回転するタイプか、Surfaceのようなキーボード着脱タイプ。
本機は、かつての富士通FMV LOOX Uが採用していた、一度画面を開き、180度回転させてからパタッと折りたたむ方式です。
するとこのようにWindowsタブレットとして使えるようになります。4,096段階筆圧検知対応ペンに対応していますので、手書きのメモ用にも。
この方式は、↓でレビューしたOne-Netbook A1も採用していました。
本機が、競合他社を含めた昨今のUMPCトレンドを取り入れた一例です。
これがすごい!キーボードとタッチパッド
使っていて一番素晴らしかったのが、入力インターフェースです。
↓のように英語配列キーボードと、右上に広めのタッチパッド、左上にマウスボタン、中央上部に電源・指紋認証ボタンがついています。
キーボードは16mmピッチで、特に苦も無くタッチタイピングできるようになります。
打鍵感も良好でタイピング端末として十分にその役目を果たしてくれます。ただ、記号が上部にまとめられているので、日本語入力においてはハイフンが一番ネックですね。
タッチパッドは素晴らしく、8インチとは思えないほど広く取られています。そのため、マウス操作やマルチタスク操作が快適。
これまでのUMPCはポインティングデバイスが一番のペインポイントでした。
ただ、GPDはMicroPCやWin Maxの経験から、キーボード上部に広めのタッチパッドを置けば使いやすくなる!というノウハウがあり、それを本機にも採用した形。
iPad miniや他UMPCとの大きさ比較
さて、本機の絶妙なサイズ感を、他の端末と比較してお伝えします。
Pocket 2までの7インチポケットサイズよりは一回り大きくなりますが、使いやすさとのギリギリのバランスを取っています。
まずは↓でレビューした13インチのThinkPad X1 Nanoから。
こちら、小さめな13インチですが、これと比較すると差は歴然。
一方で厚みはPocket 3の方があります。
続いてはiPad mini 6です。
写真では厚みのあるPocket 3が大きく見えますが、重ねるとフットプリントはかなり似通っています。今回の比較中、フットプリントという意味ではiPad miniがもっとも近いです。
ただ、厚みは4倍くらいあります。
つづいては、クラムシェルとしての使いやすさから隠れたファンが多い、8.9インチのMagic-Ben MAG1です。
こちらもフットプリントはかなり似通っています。ただ、きっちり重ねるとMAG1よりも長辺が短くなっています。
厚みはPocket 3の方がありますね。
つづいては、2-in-1機構が同じOne-Netbook A1です。
こちらは7インチなだけあり、Pocket 3の方が一回り大きくなっています。短辺はほぼ同じなのですが、長辺が数cm長いです。
厚みはPocket 3の方が厚いですが、手に持った感じは近いです。
つづいては10インチのOneMix4。
こちらもクラムシェルとしては理想的な使い勝手なのですが、もはやUMPCカテゴリではありません。モバイルノートの最小クラスというのが正しいでしょう。
これと比較すると、さすがにPocket 3の方が長辺が数cmコンパクトになっています。
厚みはPocket 3の方がありますね。OneMix4もコンパクトで取り回しは良いです。OneMix4は薄さで、Pocket 3はフットプリントの小ささで、それぞれモビリティを持っています。
最後がGPD Win Maxです。
手に取った印象は、本機が一番Pocket 3に近いです。フットプリントはPocket 3の方がコンパクトですが、
厚みは似ています。Pocket 3の方が数mm薄いですが。
というわけで、設置面積はiPad miniに、厚みはGPD Win Maxによく似ている、というのが結論です。
ベンチマークスコア
最後にベンチマークスコアを見ておきましょう。
1195G7モデルは、処理速度が速く、かなり快適な操作感です。
実際、CINEBENCH R23スコアは下記の通り、マルチコア3,958pts、シングルコア1,438ptsです。モバイルノートとしてはかなり高速。
CrystalDiskMarkの読み書き速度は下記の通り。PCIe NVMeなのでストレージ読み書きも高速。
そこまでヘビーでないゲームプレイを含め、大半の用途はストレスなくこなせる性能があります。
ついにここまで高まったUMPC完成度
以上、GPD Pocket 3をレビューしてきました。
冒頭にも書いたとおり、これまでGPD社やライバルのOne-Netbook社、Magic-BenやChuwiなど各社が投入してきたUMPCの、様々な試行錯誤の結果を集約したようなモデルでした。
つまり、モビリティの犠牲は最小限に、このサイズにしてクラムシェルノートPCとしての使い勝手を限界まで高めている印象。
GPDでいえば、GPD P2 Max、GPD Win Max、GPD MicroPCの3モデルを融合し、どのユースケースにも対応できるように進化させたような一台です。
気になる点としては、これは使い方にもよると思いますが、厚みと重さがUMPCとしては最も大きい部類になる点ですね。Win Maxの厚み、700g超えの重さを許容できるかどうかです。
というわけで、ここまで完成度が高まったUMPC、買って損はない出来映えなので、気になった方はぜひチェックしてみてください!
今週、国内正規版の予約が開始しますよ!
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コメント
“ 一度画面を開き、360度回転させてから”
360度回転させたら元に戻ってLCDが外向きになりませんが。
コメントありがとうございます。
そうですね(^_^;)おっしゃるとおり。180度ですね。
ご指摘ありがとうございます。(編集長)
いるいるw
重箱の隅を突くやつw